RECORD

Eno.111 アルバート・ヴァイルシェールの記録

苦痛を導とせよ

「慣れちゃいけねえってわかってる」

「治るからいいや、戻るからいいや」

「それが当たり前んなって、ぶっ壊れていくのはまずいって」


「理解してる」



「理解してるだけ」



「誰が咎められんだよ、ええ!?」

「この仕事がたのしくてたのしくて愉しくて仕方ねえ!」

「どんだけ傷を負っても、どんだけ死ぬような目にあっても!」

「ちゃんと生きてられる」


「死ぬ直前でもう俺は終わりのはずなのに!
 好きなだけその瞬間を得られんだよここじゃあよ!!」


「身体が正常に異常を訴えているのを!
 あぁ俺まだ生きてんだって感覚を全身で浴びれる!」

「死んだなって傷負ってさ、身体の一部吹き飛ばされようがなんだろうが!
 何度も何度でもギリギリ生きてる感覚を味わえて!」

「どんどんぶっ壊してぶっ壊れていく感覚が好きで好きで好きで好きで堪らねえ!!」

「こんな最高の環境あるかよ、」


「本当」


「俺が、」



「俺がちゃんと普通だったら、」

「もっと言えることあったのかな」



「わかんねえな」

「俺は普通になりきれなかった」



「……普通じゃなくて、こんなんだけど、こんなだから、」

「ただこのギリギリに浸ってるだけで、たのしくて、」


「それがいい、これがいいんだって。
 思っちまうよな」

「難しいよ、」