RECORD

Eno.97 青枯の妖精の記録

青枯の妖精

「繁茂の精霊と枯朽の精霊が居なくなって暫く後、
 森の中から一人の妖精が生まれました」

「その妖精は時に瑞々しい花を育て
 時に枯れた木々を腐らせました」

「妖精は森に入った人間を逃しません。
 人の言葉で森の中へと迷い込ませます。
 甘い匂いで人間を惑わして更に甘い蜜を飲ませます。
 飲んでしまったら最後、
 身体を作り替えられて森の植物に変わり果てちゃいます」

「怖いですよね、
 だから興味本位で行ってはなりませんよ」

「えっと……繁茂と枯朽、二つの性質を持ち合わせた妖精さん。
 あの森から何とか生きて帰ってこれた人達は
 青枯の妖精と言いました」

「その妖精さんは……あぁごめんなさい。
 ついつい癖で」

「その妖精は森の意思の代弁者、
 森全ての植物の意識の集合体だと言われてます」

「どんなに良いことを言われても
 どんなに良いことをされても付いて行ってはなりません」

「青枯の妖精は森のことしか考えていませんから」