RECORD

Eno.34 シャルティオの記録

【7 またきみと、ともだちに】


 ニーズのきょうだいと名乗るひとから手紙が来た。
 悩んでいた僕はそれを見るなり、
 動かなきゃと立ち上がった。

 怒られるのが怖かった、否定されるのが怖かった。
 母さんの幻影も声も消えてくれやしないけれど、
 そんなのよりももっと大切なものがあった。

「僕は、友達を失うのが怖かった」


 ニーズとはまだそこまで沢山話した仲ではない。
 けれどニーズがあったかい膝掛けをくれたのを覚えている、
 ニーズが示してくれた優しさを知っている。

 だからこそ僕は、ニーズを大切だと思ったのだ。
 ニーズもダイナーのいつもの仲間だし、ね?

 いつものダガーを携え、ニーズを探して訓練場へ。
 そこにいたニーズは様子がおかしかった。
 僕のことも、みんなのことも忘れているようだった。

 手紙の文面を思い出した。

──様子がおかしければ、頭をしばいてください

 だから僕は──手にしたダガーを思い切り振り上げた。
 ごめんねニーズ、こうするしかないの。

  ◇

 戦闘の後、ニーズは僕のことを思い出してくれた。
 友達になりたい、仲直りしたいと言う僕に、ニーズは渋った。
 そして僕は、ニーズの本心を聞いたんだ。

 ……ニーズが自分自身のことを
 どう思っていようが、僕は関係なかった。

 ニーズが示してくれた優しさは本物だ。
 僕はニーズがニーズだからこそ友達になりたかった。
 だから真摯にそれを伝えた……つもりだ。

「僕は君と仲直りをしたい」


「僕は、君の──
 ニーズの、友達になりたいんだ


 仲直り、出来たね。

  ◇

 その後、ふたりでビーチに行った。
 色々とお話してたけれど、僕は疲れて眠っちゃった……。
 でもきっと、明日からまたいつも通りに戻れるよね。

 優しくて強くて格好良くて、
 でもちょっと不器用な君のこと。僕は、好きだな。
 これからもよろしくね。

  ◇

 ダイナーで、いつかシュルとした会話を
 思い出している。

 まだそこまで会話していない僕ら。
 年の瀬の祭典で、僕のダガーを買っただけのシュル。
 それしか接点はないはずなのに、
 シュルは僕に「友達になれたら嬉しいよ」なんて。

 僕は困惑した。素敵な友達が出来たら嬉しいけれど、
 僕ら、そこまでの接点なんてあったっけ?

 どこまで話したら友達なんだろう。
 どこまで関わったら友達なんだろう。
 分からなくて困惑していた僕に、
 シュルは彼なりの考えを教えてくれたんだ。

 その後で軽く一戦した。
 シュルは僕のダガーを使っていた。
 嬉しかったし、楽しかったのを覚えている。

  ◇

 そんな僕が、今度は自分から、
 「友達になりたい」と言っている。

 友達の定義とかまだよく分からないけれど、
 僕はニーズとまた
 これまで通りに話したかったんだ。

 次にシュルと会ったら何て言おうか。
 「素敵な友達が増えたんだよ」って笑おうか。
 
 そんなことを、つらつらと考えていたんだ。