RECORD

Eno.32 七曜の記録

弁明

「なぁ姉貴」
「ん?」
 紫の髪を高く結った猫耳の青年は同じく猫耳を持つ“姉貴”を少し見上げて呆れたように言う

「……しばらく安静にって言われたんじゃねぇのか?」
「言われたけど……メイ・・の依頼に着いて行くだけじゃないか。それくらいはいいだろ」
 “姉貴”は青年をメイと呼び、不満そうに尻尾を揺らす

「姉貴の言い分もわかるぜ? でもな、僕が今日やろうとしている依頼何かわかってるか?」
「……西から東にかけての巨大烏賊イカ討伐ツアー
「姉貴は人型魔物のが得意だろ。それに、今の状態じゃどの道足手まといにしかならねぇって」
「……そんなことわかってるよ」

 “姉貴”の猫耳がへたり、二色の瞳から涙が溢れた
 メイは少し焦りつつもすぐ呆れた表情に戻り、つかつかと背中を向け去って行く
「ちょ、無視はないだろ無視は!」
「涙脆くなったのは反動みたいな物だし、慰められるよりはそっちのがいいだろ?」
「……まぁ、そう、だけども」

「この事はきっちり母さんに話すからな」
「待ってくれ! それだけは……」
「もしもし母さん? 姉貴が僕の依頼に着いていくって言い出して……」

「……お土産の葡萄地酒みんなで山分けだってさ
 良かったな。没収とまで行かなくて」
 メイはそう言うと軽快に走り出し、すぐ見えなくなる

「イカ料理フルコース土産に持ってくるから、大人しく待ってろよー!」
 そんな言葉が街に響いたのだった