RECORD

Eno.8 スフェーンの記録

NO episode:彼女の機嫌を直せるというのか?


「……すごい腹が立つの」



彼女の名前はインカローズ!ゆるふわの可愛らしい女の子。

大嘘だ。

役名:インカローズ。
彼女の本名をカルミアという。
カルミアはほわほわとしたら可愛らしい顔つきの印象とは異なり、どちらかというとただ簡単な性格をしていた。
勝ち気。強気。負けん気しかなくて。
子供らしいわがままの子供。


「私たち、放送されてるんでしょ」



スフェーンに強い物言いをしてくることもしょっちゅうだった。
天才子役はもてはやされている。
ただし別に聞き分けが悪いわけでもなく、ちょっと素直になれない年頃なのもある。
ありがとうは顔を真っ赤にしながらいうし、悪かったことはごめんなさいと謝る。
ただ、自分の中で曲げたくないことと、負けたくないことがあるから、彼女は日々葛藤と戦いで口を振るっているのだった。
スフェーンはカルミアのことを案外気に入っている。
というよりは、幼い頃から見てきたので、まあ、親しみがあるのだった。
カルミアが大体、理不尽に勝気をぶつけてくるのも自分だけであるから。
素直になれない不器用な彼女の性格はよく知っているから。


「……」



彼女の悲しみも知っている。


「……絶対、一年で突破口を見つけてやる」




桃の瞳は輝きを失っていない。