RECORD

Eno.276 リベレの記録

点検:グラディウス



この世界と“繋がる”までの僕の戦闘は、フィクションだった。

神経に干渉するVR機材のおかげで、
リアルのような臨場感や手応えを感じてはいたけれど、
あくまでゲームの話だった。
本当は、武器なんて握ったことはない。
あるのはオプションのコントローラーだけ。
あの世界には包丁すらない家もあるのだ。

だけれどこの闘技の世界で、僕は武器を持って戦う。
金属や木製の柄の質感。
握るところで変化する重心。
当然、刃に触れると怪我をする。
人を傷つける道具。

僕の世界での戦闘とモノマキアは、ちょっとだけ似てる。
ルールがあること。
生命を奪うことはないこと。
だから、僕はここでも戦っていけている。

相手が意思疎通のできる生き物であることを、
ゲームだった頃から今もずっと、忘れてはいないつもりだ。

敬意を忘れずにいたい。
対戦相手に、この闘技場に、観客のひとびとに。
この手に握る武器に。
そして、この世界に来たばかりのあの時の自分を忘れずにいるために、
最初の武器はグラディウスとした。