RECORD

Eno.133 噂話の記録

葵へ——過去の事

俺の過去。面白くもないけど、知ってほしいと思ったから…書き残しておく。

生まれは知らない。
気づいたら暮らしてた孤児院は崩壊してて、住んでた子供達は餓死、人攫い、事故死なんかでバラバラだった。
1人でスラム街を彷徨って、スリや万引きなんかをして生活してた。
顔がいいから売れるだろうって人攫いに逢う事が多かったな…

そのうち空腹を感じなくなって、死も怖くなくなった。いつかどうせ来るなら、今のうちに来て欲しいって思うようになった。
それから、偶々チンピラに絡まれて左目上から頬にかけてナイフで切られた。痕は残らないように治せたらしいけど…追われるのがいやでそのまま残した。
そこで、師匠と出会った。
師匠は俺に〝仕事殺し〟を教えて、金の使い方や字を教えてくれた。
感情はいらない、そのままでいい。師匠はそう言ってたし、俺も感情なんて邪魔なだけだと思ってた。

それから俺は、人の命を奪って生活するようになった。
“やられる前にやれ”が師匠の口癖だったな…
暫くは…いや、ずっと。〝仕事〟してた。それしかなかったから。

ある時ふと、これでいいのか?って疑問を持って…もうやめにしようと仕事も…人生も。終わらせる事にしたんだ。
最後に用心棒としてスカウトされて…人の為に何かできるならって受けた。終わったら命を終わらせようと思って。
でもその仕事で異世界へ、偶々飛ばされて…いろんな人に出会って死ぬのをやめた。

葵と出会ったのは、その異世界から出て…拠点を作った頃だったな。

俺の名前は師匠が付けたもの。髪色から付けたらしいが…そのまま“藍色”って意味なんだ。安直だろ?
…長くなっちまったな。俺の過去はこんな感じ。
聞きたい事があったらいつでも聞いてくれていい。
ああ、この手紙は読んだら捨ててくれて構わないよ。寧ろすぐにでも燃やしてくれ。なんか恥ずかしいから…


追伸:師匠はもういない。俺がこの手で■■たから。