RECORD
Eno.149 カルナ・クルクシェートラの記録
01:記録再生/ヴリトラの天蓋
フラウィス来訪3か月前

その日は、なんだったか。Arjuna隊とVarculia隊にはなんにもなくて、僕は親友の一人と会話をしていたんだ。


僕は、彼から彼が流された「無人島」の話を聞いていた。
数週前、彼は一時的に行方不明となった。一週間して、彼は流されて帰ってきた。
そのとき、どうも彼は何か大切な体験を得たらしい。僕と、今は任務でいないもう一人の親友は、その話を聞くのが大好きだった。
花の少女、不思議な少年に、超常的な存在。
精霊の少女に、死んだ目の青年。
マイペースなアンデットに、素直じゃない鳥人、のんびり屋のにゃんこ。
彼らや、島の話をする彼はとっても楽しそうで、聞いているこっちも楽しかった。
彼とともに流れ着いた荷物をこっそりかくして渡して正解だった。
彼は、ちょっと不器用だけど優しい奴だった。
自分のために怒り、誰かのために動くような奴だった。
……本当なら、こんなところにいるような奴じゃないとも思うけど、それは、まあ、全員に言えることだから。
そんな話をしていたら、前から来た違う服装の職員に呼び止められる。
「あ、カルナさんにニライくん。おはようございます。探してたんですよ、ニライくん」

「ああ。この後の検査、少し時間が遅れそうって話だ。30分ほど遅く来てくれ」

職員……技術員はそう言って去っていった。

ふと思い出して声に出す。
そう、そうだ。



……改造手術。
僕らの国……サジタリアで行われている、希望者に行われる強化手術。
魔物はびこるこの世界では、それは生存と防衛のために力を求めるならと受ける者は多い。
まあ、適性や方向性のために検査などはあるけども。
効果のほどはといえば、大体確かだ。
大幅に感覚器官が鋭くなり、斥候兵としてものすごい成績を残した者。
魔力器官を大きくし、追加演算領域を得て魔法兵として大成した者。
飛翔パーツを得て、多くの村人を災害から救った者。
なんなら、僕たち生体兵器HellStarも改造手術の産物のようなものだ。まあ、大体は「強化人間」どまりになるけども。
ともかく、生体兵器とまではいかなくとも強い兵が増える。だから上や技術部は、ある一定以上の兵に強化改造手術を勧める通知を出す。
彼は、海で行方不明になる前にその通知をもらっていた。その時は、まだ考え中だったのだろう。
けど、帰ってきてから……回復してから、彼は希望を出したそうだ。


そう笑う彼は、決意と希望に満ちた笑顔をしていた。
海色の眼は朝の海みたいにキラキラしていて、僕は……僕は、



僕はあの時、どうして、笑ったんだろう。
……どうして止めなかったのかと今でも後悔している。
変わってしまったんだ。彼は。……いや、正確には「変えられてしまった」と言うのが正しい。

こんこん、と部屋の扉をノックする

彼は強さを求めてるのは知ってた。僕も、もう1人も。それが悪いこととも僕は思わない。彼の境遇なら自然なことだろうし。

でも、でも、そうだ。なんで忘れていたんだ?

「彼ら」は───────技術部は、紛れもないマッドサイエンティストの集まりだ。
それが、適合者を───それもかなりのレアものを───見つけて唯力を与えるだけにするか?

扉が開かれる。
答えは否。解答用紙を見るまでもなく。

そこには、ただ虚空を見つめている「ニライカナイだったもの」が、あった。
不条理には憤慨し、遊戯には無邪気に笑っていた僕達の親友は、全てに無感情な殺戮者に仕立て上げられてしまった。

………青い海は、太陽を奪われた氷河の下しか映さなくなった。
…………今、淡々と彼は侵略の手伝いをしているか、それとも、空虚に居るか。ここに来る少し前のイーハの通信が正しければ、またま暫くは空虚なままだろうけど。
………僕の目的は、情報収集だ。
もし、もしも………彼の「夢では無い体験」が事実なら。この数多世界交わるこの闘技場に、何人かいるかもしれない。
――――――――――――あの「無人島」を知る、誰かが。

……へえ、ニライ。そんなこともあったんだ?
その日は、なんだったか。Arjuna隊とVarculia隊にはなんにもなくて、僕は親友の一人と会話をしていたんだ。

そ。その時さ、アルジェントがすげー顔して見てて……

けど、すごいね。マンボウも捕れたんだ……
僕は、彼から彼が流された「無人島」の話を聞いていた。
数週前、彼は一時的に行方不明となった。一週間して、彼は流されて帰ってきた。
そのとき、どうも彼は何か大切な体験を得たらしい。僕と、今は任務でいないもう一人の親友は、その話を聞くのが大好きだった。
花の少女、不思議な少年に、超常的な存在。
精霊の少女に、死んだ目の青年。
マイペースなアンデットに、素直じゃない鳥人、のんびり屋のにゃんこ。
彼らや、島の話をする彼はとっても楽しそうで、聞いているこっちも楽しかった。
彼とともに流れ着いた荷物をこっそりかくして渡して正解だった。
彼は、ちょっと不器用だけど優しい奴だった。
自分のために怒り、誰かのために動くような奴だった。
……本当なら、こんなところにいるような奴じゃないとも思うけど、それは、まあ、全員に言えることだから。
そんな話をしていたら、前から来た違う服装の職員に呼び止められる。
「あ、カルナさんにニライくん。おはようございます。探してたんですよ、ニライくん」

俺、ですか?
「ああ。この後の検査、少し時間が遅れそうって話だ。30分ほど遅く来てくれ」

わ、わかり……ました
職員……技術員はそう言って去っていった。

検査……そっか、そろそろか
ふと思い出して声に出す。
そう、そうだ。

ああ、一週間後だ。

……改造手術!

……
……改造手術。
僕らの国……サジタリアで行われている、希望者に行われる強化手術。
魔物はびこるこの世界では、それは生存と防衛のために力を求めるならと受ける者は多い。
まあ、適性や方向性のために検査などはあるけども。
効果のほどはといえば、大体確かだ。
大幅に感覚器官が鋭くなり、斥候兵としてものすごい成績を残した者。
魔力器官を大きくし、追加演算領域を得て魔法兵として大成した者。
飛翔パーツを得て、多くの村人を災害から救った者。
なんなら、僕たち生体兵器HellStarも改造手術の産物のようなものだ。まあ、大体は「強化人間」どまりになるけども。
ともかく、生体兵器とまではいかなくとも強い兵が増える。だから上や技術部は、ある一定以上の兵に強化改造手術を勧める通知を出す。
彼は、海で行方不明になる前にその通知をもらっていた。その時は、まだ考え中だったのだろう。
けど、帰ってきてから……回復してから、彼は希望を出したそうだ。

……本当に受けるの?

おうよ、勿論!強くなって、生き延びて
それで、またあいつ等に会ってやるんだ!
そう笑う彼は、決意と希望に満ちた笑顔をしていた。
海色の眼は朝の海みたいにキラキラしていて、僕は……僕は、

……そっか。それなら、僕を越すくらい強くならなきゃね?

っは!今に見てろよ?ビビリすぎても知らねーからな!

なんだとー??
僕はあの時、どうして、笑ったんだろう。
……どうして止めなかったのかと今でも後悔している。
変わってしまったんだ。彼は。……いや、正確には「変えられてしまった」と言うのが正しい。

……
こんこん、と部屋の扉をノックする

……
彼は強さを求めてるのは知ってた。僕も、もう1人も。それが悪いこととも僕は思わない。彼の境遇なら自然なことだろうし。

ニライ……ううん
でも、でも、そうだ。なんで忘れていたんだ?

……
「彼ら」は───────技術部は、紛れもないマッドサイエンティストの集まりだ。
それが、適合者を───それもかなりのレアものを───見つけて唯力を与えるだけにするか?

入るよ、Apophis
扉が開かれる。
答えは否。解答用紙を見るまでもなく。

…………
そこには、ただ虚空を見つめている「ニライカナイだったもの」が、あった。
不条理には憤慨し、遊戯には無邪気に笑っていた僕達の親友は、全てに無感情な殺戮者に仕立て上げられてしまった。

…………
………青い海は、太陽を奪われた氷河の下しか映さなくなった。
…………今、淡々と彼は侵略の手伝いをしているか、それとも、空虚に居るか。ここに来る少し前のイーハの通信が正しければ、またま暫くは空虚なままだろうけど。
………僕の目的は、情報収集だ。
もし、もしも………彼の「夢では無い体験」が事実なら。この数多世界交わるこの闘技場に、何人かいるかもしれない。
――――――――――――あの「無人島」を知る、誰かが。