RECORD

Eno.23 透の記録

昨日、灰色世界にて



私は確かに昨日産まれたのかも知れません。沢山あると言う、積み重ねられるべき昨日の山を私は知らないものですから。そうして私は証明すら出来ないものですから。
人が私を赤子――つまりは未成熟な生き物であると評するのも無理は無い事でしょう。

硬い唇。白いホイップ。臭い酒。べとべとのピンク。


断片的なそれらで埋めるにはこのパズルは広大過ぎるのです。どうしたって埋まらない穴だらけでピースを探そうにもそれらは歪んで散らかり、時には屑籠の中にあるのですから。

「好きなもの。」


「何を」「目指していたんだ。」


――私は。

何を成し遂げる為にここに居たのでしょう。恐らく酷く遠くなった昨日の事だけが未だに鮮明であるのに、振り向いたすぐ後ろは淀み濁って定かでなく。

崩壊してゆく塔のその淵に立っているような。そんな錯覚を覚えているのです。

「あなたは」「教えてくれなかった。」


「……」「残って」「くれなかった。」