RECORD

Eno.122 花貫 渓の記録

Brilliant

彼……師匠のもとで初めに学んだのは、異能の制御だった。
自分自身の身体が捻れ、腕が破壊されたのは異能による作用
であれば、制御ができなければ真っ当に生きることも出来なければ、人と関わることさえ困難な状況は続く。

もしも自分が制御しきれなければどうなるか、彼は幾度となく告げては、その必要性を説いた。
いつ爆発するかも分からない爆弾、あるいは世の中に紛れた凶器
それが制御できない以上は存在できないことを、中学生にもなれば理解できる。

それが自分自身の望んだことではないとしても
もしも初めに破壊されたものが、自分の腕でなかったとしたら。
理不尽ではあっても、納得はあった。

ただ。
彼はそれを決して悲観しなかった。
決して、悲観的には語らなかった。
裏を返せば、制御さえ出来れば元の生活に戻れると、戻すと言った。

……。

自分は彼のような人間を、よく”眩しい人”だと表現する。
どちらかといえば悲観的な傾向がある自分にとって
絶えず希望を語る人たちを、眩しいと思う。

そこに居るだけで、周囲の環境を明るく変える力を持つ人たち。

己がそうした性質でないことを理解すればこそ
そこに少しの憧れと、そうはなれない諦めと共に在る。

あるいは今は、”そうでなくても良い”という割り切りも。