RECORD

Eno.361 カスミの記録

✤ [路地 / S席] 《素朴な少年》と

とある、路地裏での話―――

「やあ、そこのきみ。
 急にすまないね。いわゆる迷子というやつさ。
 土地勘はあるかな?よければ道を教えてほしいんだけど。」

「行きたいのは宿泊施設レジデンスゾーン
 新参者の闘技者でね。帰ろうと思ったらこの有様だ。」

✤✤✤

其は、呼吸のように嘘をつく。
けれど、嘘しかつかないわけではない。

ただ―――
道に迷って困っている・・・・・というのは、きっと嘘だ。
その程度で、其が困ることなどないだろう。


✤✤✤

「ん?そうだね……少し・・だけだけど。
 でも、あんまり手応えなくってさ。むずかしいね。」

「…。見ている人はともかく……相手まで?
 ……。ちなみに。
 きみは、どうかな。楽しんでるかい?」

「きみにとってあの闘技場が、つまらないとか苦しいとか窮屈だとか、そんなものであるんなら。
 それは……すこし、残念だな。」

✤✤✤

其は、呼吸のように嘘をつく。
けれど、それでも。
決して、嘘しかつかないわけではないのだ。


✤✤✤

「もしその答えを見つけて、そしてそれがきみにとって良くないものだったら。
 そのときは、また、ボクに聞かせて欲しいな。」

「……もちろんボクは、そうでないことを祈っているけど。 」

✤✤✤

其の虚実を見極めるのは容易でない。
ヒトとヒトの間に行き交う嘘。
其れを見極めることが難しいのと、同様に。