RECORD
Eno.31 エヴドキームの記録
младший брат
結局、俺が売られたの10歳の頃だった。
抱き合わせ…ってんじゃないんだけど、弟一人ついて、俺ら二人。
同じ生産ラインではなかったけど、そいつは殊更俺に顔の作りがそっくりだった。
似てる顔がどうやらお気に召したらしいよ。知らないけど。
俺らが売られた場所は、いわゆる見世物小屋…の中でも、もうちょっと危ない方向性の。
ステージの上で人対人とか猛獣対人とか、そういうのをやるところだった。
似てるだろ、だから慣れてる。
弟っていうくらいだから歳はちょっとくらい差があったけど、その辺は忘れたな。
背格好は大体同じ、顔もそっくり、の子供が二人ステージに立たされるっていうのが目論見だったみたいで。
でも力量差があったから、そしてこんな俺でも弟に対して手加減はできたから、二人でステージに立ったのは最初の一回だけ。
アイツ弱いから俺の付き人とかステージの用意とか、余興とかにしたら、って言った。
折角金払って買った二つセットを、一つ欠けさせるのも勿体ないだろって。
10のガキがそういう提案をした。提案は飲まれた。
アイツが準備して、俺がステージに立って、アイツが後片付け。
小さな子供、大きな大人、サメ、ワニ、そんなのを経て。
一発目に目を狙う。それから鼻。サメなら鰓。口の中もあり。ワニが閉じる前に気を付けて。
そうして、最初に渡された一本のカランビットで、ついにライオンまで倒せた日。
俺は、潮時だなって思った。
客は、盛り上がってはいたけど。
内心、混血の鱗付きがむざむざ殺されていく様を心待ちにしていたから。
わかるんだよ、そういうの。
次で殺されるだろうって思ったから。
命に未練があったとかではなく、死んでやるのって癪だなって思ったから。
弟を置いて一人で逃げた。
こうやって逃げる、と弟に伝えた。
もし告げ口するならそれでもいいと思った。連れていけないから、お前は弱いから。
それを俺と同じく癪だなって思うなら、そうしてもいいと思ってた。
結果、俺は逃げられた。いや、後々追手は来たんだけどさ。
来たけど、……多分アイツは俺の手伝いのほうをした。
最後振り返りもしなかったから、
俺は、アイツが俺の背中をどんな顔で見送ったかすら知らない。
思い出したくなかったな。
アイツも、忘れてたらよかったのになぁ。
抱き合わせ…ってんじゃないんだけど、弟一人ついて、俺ら二人。
同じ生産ラインではなかったけど、そいつは殊更俺に顔の作りがそっくりだった。
似てる顔がどうやらお気に召したらしいよ。知らないけど。
俺らが売られた場所は、いわゆる見世物小屋…の中でも、もうちょっと危ない方向性の。
ステージの上で人対人とか猛獣対人とか、そういうのをやるところだった。
似てるだろ、だから慣れてる。
弟っていうくらいだから歳はちょっとくらい差があったけど、その辺は忘れたな。
背格好は大体同じ、顔もそっくり、の子供が二人ステージに立たされるっていうのが目論見だったみたいで。
でも力量差があったから、そしてこんな俺でも弟に対して手加減はできたから、二人でステージに立ったのは最初の一回だけ。
アイツ弱いから俺の付き人とかステージの用意とか、余興とかにしたら、って言った。
折角金払って買った二つセットを、一つ欠けさせるのも勿体ないだろって。
10のガキがそういう提案をした。提案は飲まれた。
アイツが準備して、俺がステージに立って、アイツが後片付け。
小さな子供、大きな大人、サメ、ワニ、そんなのを経て。
一発目に目を狙う。それから鼻。サメなら鰓。口の中もあり。ワニが閉じる前に気を付けて。
そうして、最初に渡された一本のカランビットで、ついにライオンまで倒せた日。
俺は、潮時だなって思った。
客は、盛り上がってはいたけど。
内心、混血の鱗付きがむざむざ殺されていく様を心待ちにしていたから。
わかるんだよ、そういうの。
次で殺されるだろうって思ったから。
命に未練があったとかではなく、死んでやるのって癪だなって思ったから。
弟を置いて一人で逃げた。
こうやって逃げる、と弟に伝えた。
もし告げ口するならそれでもいいと思った。連れていけないから、お前は弱いから。
それを俺と同じく癪だなって思うなら、そうしてもいいと思ってた。
結果、俺は逃げられた。いや、後々追手は来たんだけどさ。
来たけど、……多分アイツは俺の手伝いのほうをした。
最後振り返りもしなかったから、
俺は、アイツが俺の背中をどんな顔で見送ったかすら知らない。
思い出したくなかったな。
アイツも、忘れてたらよかったのになぁ。