RECORD
Eno.48 Siana Lanusの記録







◆破壊の権能

「この世界は繰り返してる、って前も言ったろ?
当然ながら誰も、そんな事にゃ気付いてねぇ。
繰り返した記憶もなければ、創壁神がそんなことをしてるなんて事も知らねぇ」

「勇者か魔王が死んだらこの世界は巻き戻る。
この世界に居る奴らは、皆。
死んだ奴は戻ってくるし産まれた奴はまた腹の中」

「稀に俺みたいにそれを知覚してるヤツが居るが……
世界を変えようとして動いて────変化に街や村自体が耐えられなくなって、
その一帯の存在が全部おかしくなって、神に気付かれて“元に戻”される。
ソイツの認知もまるごと“直”されて、全部パアだ」

「……知った奴は皆、神に手を伸ばそうとする。
無理もねぇ。全ての元凶で、それを脱するためにはこの箱庭を壊さなきゃいけねぇから。
壁を壊さなきゃ俺たちは、いつまでも創壁神の玩具でしかない」

「俺が知覚したまま何周もしてるのは、まあ……慎重に情報収集してるからだな。
ああ、邪教のアレは毎回起こってるぜ、創壁神にとっちゃアレは“想定内”だ」

「………邪教に生き残りが居たって?
……そりゃあ……」

「初耳だ。
──探し出して話を聴かねぇとだな」
男の姿は無数の蝙蝠となって消えた。