RECORD

Eno.253 クァリの記録

ドミナニルダ

 
上下二連式、ブレイクアクションライフル。
古めかしい形式の銃。傷も多いが丁寧に手入れがされている。

この耳長の持つ中で、最も古い銃である。





男は処刑台の上にいた。

血に飢えた善良な市民に取り囲まれていた。

処刑人が最期の言葉を促すが、弱々しく男は首を振る。

何日にも渡る尋問で、口を利く体力など残っていなかった。そも、愚かな群衆に言葉を尽くす意味など最早無い。


神の示した救済を、差し伸べた手を、蹴り飛ばしたのはお前たちなのだ!
俺の魂は神の元へ征くが、お前たちは俗世で苦しみ、苦しみ抜いて、最後には地獄へ堕ちるのだ!ざまあみろ。



男の首に縄がかけられる。
死なない程度に吊るされたのち街中を引き摺られ、最後には火の中へ投じられる手筈になっていた。

広場は不気味な熱狂に包まれ、今か今かと裁きの時を待っている。雁首揃えた正義たちの中、ある一点に男はふと視線を留めた。

見覚えのある灰色。
赤を求める聴衆は、傍らのそれに気が付きやしない。

男の背後で爆発音がした。有象無象の悲鳴。違う、これは本命じゃない。

男は瞬きもせず灰色を見ていた。

深く被った頭巾の下に、寂しげな錆色の瞳。
はためく外套の裡から見上げる、底冷えの銃口と視線が合う。

そんな距離から撃ち抜ける訳がない。この混乱の中で。
ああ、しかし、お前だものな──

穏やかな銃声と共に、男の意識は暗転した。














ジョエル・ジ██ソン 

大逆罪 不敬█





「あれ。これはこっちじゃないや」

その紙を別の束に綴じた。