RECORD

Eno.345 エイサの記録

ーー

 あの戦争で、腕を吹き飛ばされながらも何故生き残ったのか。
 それはよく覚えていない。
 解っているのはただひとつ。《祖国》は敵だ。あいつらが■を殺した。
 
 あれだけのことをして、生き延びたのに
 あんなにあんなに、沢山沢山、殺したのに
 どんな命令にだって従って
 男も女も殺した
 老いぼれもガキも殺した
 みんなみんな殺した
 それなのに

 あいつらは僕を裏切った。



 
 憎悪という紅い鎖は、躰を縛り付け、棘で全身を引き裂いていく。
 一度絡み付いてしまえば、それはもう、離れない。
 戦場を歩くたびに、死が全身に蔓延っていく。

 誇りたいものなんて何も無い。護りたいものだって無い。
 ただ、殺したい。ただ、憎い。
 何故■は殺された? 何故■は殺されなければならなかった?
 枯れてしまった花は、もう美しさを取り戻さない。
 僕にはその一本の花だけがあればよかったのに。
 
 だから、あの時、思った。



 

「壊してやるよ、こんな世界」



 と。




 ……でも。




「嘘吐き」



           
 本当に憎むべきは誰か、もう知っていた。Who killed Cock Robin?
 





―― 「I」, said the Sparrow?