RECORD

Eno.253 クァリの記録

🜔






欠けた右腕。咬傷。約束。脅迫。英雄。対話。悪意。

焦げた紙束に埃が積もる 

紫煙にうずまり灰皿を舐めた。









彼女は手紙を開封した。




仮称"シュラウド"についての目撃情報を同封の資料にて報告する。
長期に渡るため、時系列が正確でない可能性があることに注意されたし。


また比較的直近の目撃情報として、北方"武器庫"から以下のとおり情報提供アリ。 

構成員"ロギ"が任務終了後、"シュラウド"らしき者と接触。
能力についての質問をいくつかされたが"ロギ"は回答を拒否。
12分程度の会話(※)の後別れた。
個人名、目的等は不明。


※ほぼ一方的に話しかけられていたものと思われる。
 あのぼんやり前髪火災野郎が普通の会話なんてできるわけないだろ







騒々しいノック音。

「しょ、書記官殿」

「……どうしました」

「"シュラウド"が、来ました」

「は?」

「その、門前に――例の交渉の話がしたいと」


彼女は窓に駆け寄り、そこから見える正門を睨んだ。

灰色の客人の姿は五つ。

十の錆色の瞳が、彼女を見た。