RECORD

Eno.68 Daliusの記録

きょうだい

おれにはきょうだいがいるらしい。
何人も。

吸血鬼ちちおやが世界中のそこかしこで何でもかんでもと恋に落ちたりなんだりしているせいらしい。意味がわからない。

だので、全部で何人いるとかどこの誰とかも全然わからないし、下手すると現在進行形で増えている可能性すらある。

おれは吸血鬼ちちおやの影も形も見たことがないし、母のことも存在していると思われることくらいしか知らなかったため、当然きょうだいのことなんて考えたこともなかった。



あるとき、きょうだいのひとりだという男がおれを訪ねてきたことがあった。
否。偶然通りがかって、顔を見たらわかった・・・・・・・・・という。

なるほど、そっくりだ。
月光に映える白銀の髪も、暗闇で光る金色の瞳も。
なにとなく吸血鬼ちちの顔が想起できるようでもあった。あったことないから知らないが。

彼はおれに、吸血鬼であることを教えてくれた。吸血鬼のあり方を。名乗るべき名前を。
兄が弟かもわからなかった。すこしの間だけ一緒にいた。
そうして世間知らずのおれは吸血鬼になった。

兄弟はしばらくおれのところに滞在して、それから東へと去っていった。なにかに追われていたらしい。

彼は今ごろどうしているだろうか。あれきりだ。



“兄弟、引き篭もってちゃ勿体ないぜ”
“吸血鬼として生きよう! 楽しいし、なんたって”
“夜の間は、誰よりも自由さ!”