RECORD
Eno.127 Vecens Pulcargeの記録

魔王城を守護する仕事というのは、重要とはいえ退屈なものだ。
テレポーターが用意されているが故、常に場に張っていずともよいのは幸いであるが、
魔王の側近たる四天王のうち誰かはかならず魔王城に居なければならない。
勇者の噂が立ったのはつい先日の事。
人間たちが北方沿岸の街から城の方へと来るときには部下たちが連絡を零すはずだし、
そも、勇者たちもどうせまだ城に攻めて来れるほどの力はない。
魔王の側近たる四天王のひとり───ソーカム・マウティは
周囲の目を気にせずに大きなあくびを零す。

そうやって声を投げかけたのは虚空へ。
何もない方に向けた声への応答は、どこからか響いてきた魔法的な声で来る。
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その声の主は──リラ・テラー。
魔王の側近でありお目付け役でもある魔族だ。
傍観の大魔とも呼ばれるそれは、各地に“道化師”と呼ばれる“目”を送り
その“目”を通じてあらゆるものを見ていた。
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ばさり。
大きな蝙蝠羽が空気を割いた。
◆
「はーあ、タイクツ」
魔王城を守護する仕事というのは、重要とはいえ退屈なものだ。
テレポーターが用意されているが故、常に場に張っていずともよいのは幸いであるが、
魔王の側近たる四天王のうち誰かはかならず魔王城に居なければならない。
勇者の噂が立ったのはつい先日の事。
人間たちが北方沿岸の街から城の方へと来るときには部下たちが連絡を零すはずだし、
そも、勇者たちもどうせまだ城に攻めて来れるほどの力はない。
魔王の側近たる四天王のひとり───ソーカム・マウティは
周囲の目を気にせずに大きなあくびを零す。
「ねえ、リラぁ。面白いことない~?」
そうやって声を投げかけたのは虚空へ。
何もない方に向けた声への応答は、どこからか響いてきた魔法的な声で来る。
「───ああそういえば、私の“目”の一人が面白い場所を見つけていたよ」
「……へえ?いーじゃん。
ねえ、僕も行っていいよね?
リラも居るしどーせ勇者なんてしばらく来ないんだから」
その声の主は──リラ・テラー。
魔王の側近でありお目付け役でもある魔族だ。
傍観の大魔とも呼ばれるそれは、各地に“道化師”と呼ばれる“目”を送り
その“目”を通じてあらゆるものを見ていた。
「全く、あとでイシィミに何を言われても知らないよ。
彼女は結構規律を気にするタイプだろう」
「あのアバズレなんてどーでもいいしぃ。
アイツだって自己都合でたびたびすっぽかしてるのに、僕ばっか怒ってほんとヤなヤツ~。
──じゃ、早速行ってこようかな。ナビの道化師もらえる?」
「まあいい。代価として君の土産話を楽しみにしているよ」
「はいはい。リラ好みの趣味の悪いハナシ、探しといてあげるよ」
ばさり。
大きな蝙蝠羽が空気を割いた。