RECORD
Eno.23 透の記録
灰色の空。魔女の膝の上。つやつやしとした己の毛を舐め黒猫が尋ねました。
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黒猫は全く不思議だったのです。だってあの烏の醜さはとんでもありませんでしたから。道行く人が自然と眉をしかめてしまうくらいです。
ゴミを漁って、ぎゃあぎゃあ煩く鳴き、頭上を旋回する。あれには黒猫も参ってしまうのです。
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魔女は答えました。
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確かに烏は知りませんでした。しかし己のある意味を正確に知っているものが果たしてどこにおりましょうか。尋ねる黒猫も頭上の魔女も、きっと正しい答えなんて持ち合わせていないのです。
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膝の上の猫はただ黙りして、魔女の細い指先に擽られるばかりでした。
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魔女はそう、答えました。
ええ、ええ。全くその通りなのです。魔女の瞳は真実を見つめておりました。
白蟻が多過ぎる事はいけない事でしたが、それを啄む烏も多過ぎれば酷い毒なのです。どこか欠けたよな、あるいは欠けさせてしまうような。そんなものだったのです。
あなたはそれをお分かりにならないでしょう。ええ、全く。構わないのです。
我々は。
それで。
明日、灰色鉄塔にて
灰色の空。魔女の膝の上。つやつやしとした己の毛を舐め黒猫が尋ねました。
「どうしてあんなものに器を与えたりしたんです。」
黒猫は全く不思議だったのです。だってあの烏の醜さはとんでもありませんでしたから。道行く人が自然と眉をしかめてしまうくらいです。
ゴミを漁って、ぎゃあぎゃあ煩く鳴き、頭上を旋回する。あれには黒猫も参ってしまうのです。
「邪魔だったからよ。」
魔女は答えました。
「烏がいては蟻より悪影響だわ。」
「彼等は己が鉄塔を蝕む害鳥であると知らないのよ。」
確かに烏は知りませんでした。しかし己のある意味を正確に知っているものが果たしてどこにおりましょうか。尋ねる黒猫も頭上の魔女も、きっと正しい答えなんて持ち合わせていないのです。
「あれに壊されてはまともな子供が産まれないわ。」
「それは全く由々しき事なのよ。」
「きみにそれが分かる?」
膝の上の猫はただ黙りして、魔女の細い指先に擽られるばかりでした。
「あれは」
「とてもいけないものなのよ。」
魔女はそう、答えました。
ええ、ええ。全くその通りなのです。魔女の瞳は真実を見つめておりました。
白蟻が多過ぎる事はいけない事でしたが、それを啄む烏も多過ぎれば酷い毒なのです。どこか欠けたよな、あるいは欠けさせてしまうような。そんなものだったのです。
あなたはそれをお分かりにならないでしょう。ええ、全く。構わないのです。
我々は。
それで。