RECORD

Eno.61 ニーズヘッグの記録

2:Hello

ある村があった。生贄を捧げていた。だから、彼らを助けるため、神に扮した女郎蜘蛛アラクネアをたおした。
彼らはアラクネアをたおしたことを非難した。
彼らの貧困は、アラクネアが魔力をせき止め、生贄を得た時だけ開けていただけだ。
彼らは偽の神アラクネアをたおした者に石を投げて追い出した。


ある街があった。彼らはとある国から侵略を受けていた。だから、彼らを助けるため、迫り来る数多の軍勢と破壊兵器きょうだいを追い返した。
彼らは、彼が破壊兵器とおなじもの決戦兵器であることに気がつき、非難した。
襲い来たそれとは別物であるのに、彼らにそれは関係なかった。
彼らは恐怖に従って、軍勢を退けた者にゴミを投げて追い出した。


ある小国があった。彼らは、魔物の巣に手を焼いていた。だから、彼らを助けるため、単身魔物の巣に突入し殲滅した。
彼らは、彼が生きて帰ってきたことに慄いて、彼を騙し非難した。
寧ろ彼のおかげで上手く回り始めたのに、それすら無視して目先の益を取ろうとした。










ある村があった。かつて生贄を捧げていた。それは偽りの神であり、最初こそ神が消えたことに混乱し討伐者に石を投げた。
けどもその後、飢饉になることは無かった。あの偽りの神が、魔力の泉を占拠していたことにきがついた。
村に、蜘蛛の群れが来た。辺境の村は助けを求めたが、街から見捨てられた。


ある街があった。かつて侵略を受けていた。それは理不尽であり、日常を奪われたことに怖くなって救世主にゴミを投げた。
けどもその後、それが間違いだと皆気がついた。それが居なければ今頃全て灰燼に帰していたと理解した。
街に、更に多くの軍勢が来た。その街は助けを求めたが、本国は見捨てた。


ある小国があった。かつて魔物の巣に手を焼いていた。それは隣に現れた恐怖であり、上にとっての好都合だった。だから、殲滅者を騙して利益を奪った。
けどもその後、長い長い大きな利を捨てたことに気がついた。それをしたから、もう次はなくなってしまったとわかった。
小国の地下に、どうしようも無い規模の巣ができていた。小国は助けを求めたが、応える他国はなかった。










───────だからなんだ、と彼は言った。

黒い竜の兵器は、蜘蛛の群れを再度斥けた。
超大軍を再度退けた。
理不尽の巣を斬り捨てた。


黒い竜の兵器は、見返りも謝罪も求めることなく、ただ、助けを求める声に応えて去って行った。










誰になんと思われていようと、関係ない。
彼らを助けられるなら。誰かを助けられるなら。


……自分は、悪竜であろうと構わない