RECORD
Eno.7 の記録

己の内にあるものを、やっと正しく見据える事が出来た気がした。
昔から、何かを赦すという事が嫌いだった。
赦す事は終わらせることだ。終わらせて、先に進める為のものだと思っている。
救いを望むのならば赦しと祈りを以て後ろ暗さを消していく事も必要だと。
あたしは忌み子だ。
教会と言う存在を穢した殺人鬼その実妹として、腫れ物以下の扱いを受けていた。
それが当てつけだと知っている。生まれ持って得てしまった、過失の無い瑕疵であると知っている。
冷遇があった。暴言があった。暴力もあった。
思い返すには数えるのも億劫なほどで、ずっと昔からそれらが無い生活を願っていた。
教会から出て生きていけるほどの力はない。
教会で産まれたからこそ修道女としてあり、かの旧き聖女への信仰心はこれでもある。
宗教と言う名の生活を棄てたくは無かった。
生活に固執し普遍への憧れがあったからこそ、折檻を超える扱いに諦めきる事が出来なかった。
理不尽と叫ぶには無力で、世論と言う大多数の平均値を前に抗う事も出来なかったが。
これらに。
一切の恨みや怒りが無いとなれば虚言と言わざるを得ない。
だからこそ、分別するしかなかった。
一切の負感情を切り分けてそれはそれとして扱わなければ、
害意と悪意として露見することは避けられなかっただろう。
過ぎた情動は歯止めと箍を無くす。
一過性の情動で起きる不運については、姉が示していたからよく知っている。
露悪的になるのも、事を荒げるのも好むところでは無かった。
秩序的であれば、そしてそれがなるだけ善であれば良いとしか思っていなかった。
他人には正直あまり興味が無かったから、これは自己保身だった。
姉と同じ轍を踏まぬよう気を張っている。
――反転して、仮にこれらを容認し赦してしまったのなら。
この分別して滞留のし続けている熱を終わらせたとしても、あたしの生活は変わらない。
乞われてもいない赦しなんか捧げた所で流れる血は変わらない。
ずっと、それから何もかもを赦さずに生きている。
分別によって冷や水を浴びせ続けながら。

積もったものが無くたって、
自分を赦せない奴が他人なんか赦せる訳が無いんだ。
恩赦

「……」
己の内にあるものを、やっと正しく見据える事が出来た気がした。
昔から、何かを赦すという事が嫌いだった。
赦す事は終わらせることだ。終わらせて、先に進める為のものだと思っている。
救いを望むのならば赦しと祈りを以て後ろ暗さを消していく事も必要だと。
あたしは忌み子だ。
教会と言う存在を穢した殺人鬼その実妹として、腫れ物以下の扱いを受けていた。
それが当てつけだと知っている。生まれ持って得てしまった、過失の無い瑕疵であると知っている。
冷遇があった。暴言があった。暴力もあった。
思い返すには数えるのも億劫なほどで、ずっと昔からそれらが無い生活を願っていた。
教会から出て生きていけるほどの力はない。
教会で産まれたからこそ修道女としてあり、かの旧き聖女への信仰心はこれでもある。
宗教と言う名の生活を棄てたくは無かった。
生活に固執し普遍への憧れがあったからこそ、折檻を超える扱いに諦めきる事が出来なかった。
理不尽と叫ぶには無力で、世論と言う大多数の平均値を前に抗う事も出来なかったが。
これらに。
一切の恨みや怒りが無いとなれば虚言と言わざるを得ない。
だからこそ、分別するしかなかった。
一切の負感情を切り分けてそれはそれとして扱わなければ、
害意と悪意として露見することは避けられなかっただろう。
過ぎた情動は歯止めと箍を無くす。
一過性の情動で起きる不運については、姉が示していたからよく知っている。
露悪的になるのも、事を荒げるのも好むところでは無かった。
秩序的であれば、そしてそれがなるだけ善であれば良いとしか思っていなかった。
他人には正直あまり興味が無かったから、これは自己保身だった。
姉と同じ轍を踏まぬよう気を張っている。
――反転して、仮にこれらを容認し赦してしまったのなら。
この分別して滞留のし続けている熱を終わらせたとしても、あたしの生活は変わらない。
乞われてもいない赦しなんか捧げた所で流れる血は変わらない。
ずっと、それから何もかもを赦さずに生きている。
分別によって冷や水を浴びせ続けながら。

『……そもそも』
積もったものが無くたって、
自分を赦せない奴が他人なんか赦せる訳が無いんだ。