RECORD

Eno.292 守道 福太郎の記録

どこにも提出されない文章記録 1

『颯斗くんどう?』

チリン、と鈴の音の通知音。
タブレット端末を手に取り、メッセージアプリに送信されてきたその短い文章に目を通した。
──ちなみにこれは異世界でも繋がるようになっている。ひとえにこれも仲間の異能ギフトのおかげだ。

『こないだより良くなった』

『そなんだ』『よかったね。結構浸度進んだって聞いたから』

『それ誰に聞いた?』

『るいなちゃん。アイス買いに来た時に』
『すごい心配してたよ』

「情報漏洩……!!」



デカめの声が出た。
どうやら報告を聞いた自分の仲間が喋ってしまったらしい。
友人同士なのは知っているので、まあ、気持ちは分からなくもない。
ないが、シンプルに情報漏洩なのでやめて欲しい。
事と次第によっては反省文レベルの行為ではあった。

『OK るいなに黙れって言っておく』

『聞いちゃダメな奴だったんだ』

『もういいけど……』

『お前も大変だね』

『いいけど』


少しの間。


『まあ』『なんともなさそうならいいや』
『こちらが出る事も無いね』

『そっちに持ち込む案件にさせないように俺が来たんだろ』

『まあね』『それで?』

『何が』

『お前は平気なの』

『平気ですけど』

『よかったね』

「……」



『姉貴はどうなんだよ』

『平気』

『あっそ』

『おやすみ』

『はいおやすみ』



いつもの温度感。
いつものメッセージのやりとり。
三年前と同じで、三年経っても同じ。
何も変わらない。


全てこれでいい。


自分たちは三年前より、
少しだけ息がしやすい。