RECORD

Eno.48 Siana Lanusの記録

◇43

「血を吸うってどういう感覚なんだろうな~と
 とりあえず知っておきたいなとは思ったんだけど」


「いやまあ……当てがなくってぇ………
 せめて見ることぐらい出来ないかなと思ったけど……
 まあそりゃ表じゃやらんよな……とも……」


「流石にメアリーの血一回試してみるのは……怖いな。
 なんだかんだあたし、人間はやめたくないのかも」


「もしくは、人間を害するものになりたくないのか」




「……あたしはどうして、破壊の意志に共感したのだったかしら。
 改めて少し、考えてみようか」






ひとを殺した感覚を、たまに思い出す。
あんまり味わいたくないんだよな、やっぱり。
……けれども必要だとは思った。
人々の凝り固まった思想を、壊すために。

どうして人々の思想を壊したかったか?
創壁神を盲目的に信じる者たちが嫌いだった?
それもある。けれども、
そのせいで選択肢が奪われる者が居るのが嫌だった。
父の言葉を思い出す。そうだ。私みたいな者を、
けれども私のように逃げる選択肢を選べなかった者を、
助けたかった。

停滞が破滅を生むことはよく分かっていた。
破滅させたくなかった。世界を……いや、人々を。

私は、人のためになることをしたいのかも知れない。

人が、望むことを望めることを、
人が、その意志を貫けることを、
人が、さいわいであることを、願って。
人のためになることをしていたい。

そういうことなのかもしれない。


こんな死に体の体で、生きるために他人を害したくはないよなぁ。
とはいえ、この身体のせいで他人に迷惑ばっかかけんのもな。