RECORD

Eno.207 行木直生さんの記録

軽く

 

「どうしてもね、剥げないものがありました」



「例えば、目の前に痛みで苦しんでいる人がいたら」
「とても可哀そうに感じ気遣ってしまいます」

「それが自分の手で傷つけたものでも」



「例えば、自ら投げた猫が死んだとして」
「私はとてもかなしく思います」



「誰かが道に倒れていたら」
「見知らぬ相手でも声をかけてしまうでしょうね」

「今や心を縛る道徳心もないのに」



「踏み越えられない一線がある」





「……私の振るう暴力とその行動は、私にとってなにも矛盾しない」


「きっと本能的なものなんでしょう」
「社会性のある生き物として、他者を生かそうとする欲求」


「私は歪んだ人間であったが、欠けた人間ではなかった、」




「全く、くだらない…………そう」


煩わしくとも、捨てるのがこわいのは、なんででしょうね