RECORD

Eno.8 スフェーンの記録

EP19

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※以下、再放送




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彼らの喫茶店にて談笑は続いている。
大体は外であった出来事ばかりを話して、うだうだと時間を過ごしていた。
時計の針は回る。グラスの香りは溶ける。結露は解けた。
と、いうのも。


「………」



レピドが来ない



「レッピいっつも遅いもんね〜」



インカローズはほわほわ、としながらも苦笑いを浮かべて、追加で頼んだオレンジジュースを飲み干してしまった。
一体どこで道草をしているのか。
呆れたようにスフェーンが呟いたところで。

「……」




あのぉ……いるんですけどぉ……!



うおっ



隣の席から声がした。
オレンジ色の髪が目の前にこんなにも鮮やかに写っているのだけれど、その表情はどうにも頼りない。
メガネの奥の目は申し訳なさそうな色が滲んでいて。

「すいませぇん、自転車乗ってたら信号は全部引っかかって、曲がる角間違えて、それでえ…!」



いつものなのはわかりました



涙目で必死の弁解。濁点混じりに話す様子。
ルチルも頷いて、そっと冷たい水を彼女に差し出している。

──レピド。レピドライト。
あんまり幸のない、幸薄い、影の薄い。不幸で諸々をひっくり返しそうな。
そんな女だ。

これで4人。




──彼らは揃っている。