RECORD

Eno.69 フラム=ニグラートの記録

夢想に消えゆくもの


私は魔法現実改変の使い手で。
私の身は認識と意識夢想と夢物語で形作られていて。

それらは解明されることなく、神秘性孕むがゆえに維持されているものであって。
現実に希釈されれば嘘か真実かどちらかになり、魔法の意味を無くす。
だが、忘れ去られれば歴史ごと存在を消し去られ、それらが夢であったことすら記録に残らない。

「───」



私の魔法認識の領域中でしか生きていられないものなど、最もわかりやすい例だろう。

私が造る世界の中でしか存在しえない者は、私が忘れてしまえば。
私のせいで死ぬ・・・・・・・。私のせいで世界に殺される。

自分が覚えていないだけで、いくつも忘れるものがあったろう。
たった一日の命であったことも少なくはないだろう。
夢にしか存在できないものの扱いなど、そういうものだ。

哀れで、悲しくて、祈りが届かないとしても創造主は悼まずにはいられない。
私はそのためであれば涙だって流せるのだろう。

無意味と知っていても。

私自身が、そう悼まれたいと思うことがあるから。
いずれ私は消え去る運命だと理解しているから。
近いうちに起こる事ではない、もしかしたらもっと先なのかもしれない。

私は、孤独に消えるのが恐ろしい。
だから、人に覚えてもらえるように、少しでも記憶の片隅に残るように。
誰かの柱になることはあらずとも、私が居た事実を記憶されるだけで充分だから。

私が夢想の中に消えてしまったら、私の喪失を悼まれたい。そういう人になりたい。




今のところ消える気はゼロだけれど。
私の旅って、そういうものだもの。