RECORD
Eno.48 Siana Lanusの記録


正直、元の世界に戻った方がいいんじゃないかという気持ちが最近はある。
追われている身ではあるが、もし信徒たちが生きているのなら彼らを掬いたいし、
どうにかまた次の手を考えたい気持ちがある。
……勇者を誅したい気持ちは無いとは言いきれないが、それより前向きな理由で。
ただそれは多分、現実的ではない。
私の身体が余りにも脆すぎるからだ。逃亡生活をするには不安が多すぎる。
この道を選ぶなら恐らく、メアリーの手を借りるべきなのだろうが
人でなしになるのはやっぱり、怖い。
……とはいえ、帰った方がいい、という気持ちはやけに強い。
どこにも寄る辺など無いと言うのに。……誰かを連れて行く方を検討したほうがいいのかしら。
………いいや流石に、世界に馴染むための環境を提供できないわ。
一つ目、マネスの誘い。
二つ目、ナズの誘い。
三つ目、ベンケイの誘い。
我ながら随分愛されているものだと、苦笑交じりに笑ってしまう。
ナズからの誘いは魅力的ではある、けれど、
ナズに心配ばっかり掛けちゃうのは、やっぱりちょっと。
いいやまあ、それが嫌ならちゃんと静養しろってことなんだけど。
最近はちょっと頑張って休憩多めに挟んでるし、ちゃんと食べてるし……。
シーズンが終わるまでには少しマシになってるかしら、この体調。
ナズの下についてその補佐をして、教会の腐敗にメスを入れる。
……かなりアリだな、って思う。いや、ナズが居るからというのは大きい。
………私ちょっとナズに依存しちゃってない?ううん、よくないな……他に頼れるあて……。
ベンケイからのは、教鞭を取って欲しいという話。
これもかなり魅力的ではあるのよね、
異端ではないという前提で、言葉を受け入れてもらえるのは嬉しいだろうし、
なにより、流れを生み出すもとになれるというのは、悪くはない。
大海に至りたい、という望みを果たすなら多分、ここが一番近道だ。
言語や常識の壁を前に、どれだけ人のためになる話を出来るかというのも気になるところだけれど
そこは私の努力次第であるだろうし、どうにか。
マネスからのは、正直突拍子もない話だ。
世界を変えるための同志として、という話。
………私はそんな、大層な事、出来るとは思わないんだけど、
変えなければならない、というのは本気で思った。
断ろうと思ったのに、そう思ったから、断りきれなくて。
…………これについて考えようと思うとなんかすごい頭痛くなるのよね、
何なのかしら、本当に。
世界は箱庭だっていうのは別に、そんな今更、
そう、今更なのに。当たり前で、
……………。
もしかして、だけれど。
私達の世界も、そうなの?
箱庭を、乱してはいけない、と。
維持しようとする、何かが?
私が、知りえないだけで。
◇44
「やばい、選択肢ばかりどんどん増えていく……」
「地道に考えていくしか無いわね、
今後の事……」
正直、元の世界に戻った方がいいんじゃないかという気持ちが最近はある。
追われている身ではあるが、もし信徒たちが生きているのなら彼らを掬いたいし、
どうにかまた次の手を考えたい気持ちがある。
……勇者を誅したい気持ちは無いとは言いきれないが、それより前向きな理由で。
ただそれは多分、現実的ではない。
私の身体が余りにも脆すぎるからだ。逃亡生活をするには不安が多すぎる。
この道を選ぶなら恐らく、メアリーの手を借りるべきなのだろうが
人でなしになるのはやっぱり、怖い。
……とはいえ、帰った方がいい、という気持ちはやけに強い。
どこにも寄る辺など無いと言うのに。……誰かを連れて行く方を検討したほうがいいのかしら。
………いいや流石に、世界に馴染むための環境を提供できないわ。
一つ目、マネスの誘い。
二つ目、ナズの誘い。
三つ目、ベンケイの誘い。
我ながら随分愛されているものだと、苦笑交じりに笑ってしまう。
ナズからの誘いは魅力的ではある、けれど、
ナズに心配ばっかり掛けちゃうのは、やっぱりちょっと。
いいやまあ、それが嫌ならちゃんと静養しろってことなんだけど。
最近はちょっと頑張って休憩多めに挟んでるし、ちゃんと食べてるし……。
シーズンが終わるまでには少しマシになってるかしら、この体調。
ナズの下についてその補佐をして、教会の腐敗にメスを入れる。
……かなりアリだな、って思う。いや、ナズが居るからというのは大きい。
………私ちょっとナズに依存しちゃってない?ううん、よくないな……他に頼れるあて……。
ベンケイからのは、教鞭を取って欲しいという話。
これもかなり魅力的ではあるのよね、
異端ではないという前提で、言葉を受け入れてもらえるのは嬉しいだろうし、
なにより、流れを生み出すもとになれるというのは、悪くはない。
大海に至りたい、という望みを果たすなら多分、ここが一番近道だ。
言語や常識の壁を前に、どれだけ人のためになる話を出来るかというのも気になるところだけれど
そこは私の努力次第であるだろうし、どうにか。
マネスからのは、正直突拍子もない話だ。
世界を変えるための同志として、という話。
………私はそんな、大層な事、出来るとは思わないんだけど、
変えなければならない、というのは本気で思った。
断ろうと思ったのに、そう思ったから、断りきれなくて。
…………これについて考えようと思うとなんかすごい頭痛くなるのよね、
何なのかしら、本当に。
世界は箱庭だっていうのは別に、そんな今更、
そう、今更なのに。当たり前で、
……………。
もしかして、だけれど。
私達の世界も、そうなの?
箱庭を、乱してはいけない、と。
維持しようとする、何かが?
私が、知りえないだけで。