RECORD

Eno.48 Siana Lanusの記録

◇03

「傷はある程度手当せんと、膿んだまま腐り落ちるぞ。」



夕には少し復調して、とりあえず食事ぐらいは摂ろうと
酒場に行っては適当にくだを巻いてた時、
同じ傷があると言った男にそう言われた。

「……全く、その通り」



渡されたメモの扱いには、少し悩む。
今更他人に吐露することが出来るとは、あまり思えなかった。

いっそのこと腐り落ちてもいいのだと、
思ってしまう私の傷は、もう膿んでいるのかもしれない。





*




海を、見ていた。
いつか私たちが至りたかったはずの、海を。
前に見た時は希望に満ちたものだと思っていたが、
今見るそれは、とても、悲しいものに見えた。



……ああそうだ、10の時から、思えば仲間が居て
この背に、横に、居た彼ら。
ずっと心を委ねて来たことばと、本流の姿。



「…………あたし、寂しいのね」



─── 多分私は、初めて“さみしさ”を知った。

人は、信じなければ生きていけない。
神を、信仰を、物を、他人を、己を、なにかを。
きっと。なにもないと、歩くのが怖い。さみしくて、動けない。