RECORD

Eno.48 Siana Lanusの記録

◇46

「あたしの師は、随分理知的な人でさ」


「頭が良くって、狡猾で、他人を上手く動かせる人。
 それでいて誰より人情深くて、……それを巧みに隠す人」


「誰かのためであれば、どこまでも非情になれる人」




「あたしはずっとあの人に憧れてた。
 あの人は、あたしにその背をずっと見せてくれていた」


「……喧嘩っ早さは直らなかったし、
 手先も全然あの人みたいに器用になれなかったけど」



「ふとした瞬間、あの人の言葉を思い出す。
 たくさんのことをあの人からは教えてもらった」


「あの人ったら酷いのよ、意志が通らず、尚もし生きていたら、
 その時は全部忘れて幸せになって欲しいって」



「……そんなの、出来るわけ無いのに。
 きっとあの人も分かって言ってたんだろうけどさ」




「ずっと、ありがとう。
 どうか、いつかまた、大海で出会えますよう」




ホネガイを海に放り投げた。








心残りを、出来るだけ失くしておこうと思った。