RECORD
Eno.276 リベレの記録










一呼吸。





少女の手に己の手を重ねる。
少年の中には最初から、答えはあった。


薄翅:Ⅵ
「このことは、恥ずかしいから
店長さんには内緒ね」
「そうなんですか?
今読んだ範囲でも、面白いと僕は感じましたよ」
「お世辞が上手なんだ」
「そんなことは。それにこのお話は……
主人公と僕に重なる部分が多くて、
応援したくなります」
「僕だけがこれを読めるのは、
なんだか少しもったいないですよ」
「……ありがとう」
「私時々思うんだ。
リベレは私にとって
都合のいい存在として、この世界に
呼ばれたんじゃないかってこと」
「……それは」
「リベレも、そう思っていたんでしょ。
そうじゃなきゃ、色々偶然にしては
おかしいもの」
「そうかもしれません、けど」
一呼吸。
「そうだとしても。
ここでできた思い出やした決断は、
僕だけのものです」
「あなたと友達になったことだって」
「闘技者でないあなたになら
話してもいいのかもしれません。
僕のいた世界と、ここに至るきっかけを」
「その上で──」
「どれだけあなたの書いたお話に似ていても、
僕は今ここに存在していると、
言い切ります」
少女の手に己の手を重ねる。
少年の中には最初から、答えはあった。

「一緒に挑戦してみませんか。
お互いの武器が、どこまで届くのか!」