RECORD

Eno.253 クァリの記録

炎。
敵方からも味方からも悲鳴が上がる。
木々が内側からも爆ぜ、焼けた破片が降りかかる。
視界を焦がす光は悲しいほど美しかった。
少女の涙が大粒の雨になって、路地を満たして、沈む、沈む。
溶け出し、染み込み、頁を呪う、薬指。
ありきたりな物語は演者諸共燃え尽きた。
正しき魔法が喉を焼いた。
灰皿で卵は孵らなかった。
白い靴は踊らなかった。
見ていた。見ていなかった。
おれはおれのままでいられなかった。

だれか、





飛び起きる。
酷い夢だったことだけ覚えていた。

灰色の手が無意識にアミュレットへ縋る。
月を見、もう一度意識を落とした。