RECORD

Eno.48 Siana Lanusの記録

◇48

「ああ、俺たちはあいつら境会みたいには祈らない」


「俺たちの意志自体が祈りみたいなもんだしな。
 導きに従い、着実に歩み続ける事。
 それが信仰の証左だろう」


「……ただ、どうしても縋りたい時。
 自信がなくなった時、水源に疑いを抱いてしまった時」


大いなる水源に、祈りを捧げよ。

 ……そうして己を問い直して顔を上げた時、
 歩くべき道が見付かるはず。
 それが、清流の導きだ」







祈りは常に前に進むためのもので無ければならない。
祈りは杖である。祈りは足である。進むのは己の力である心がけよ。
祈りに救いを求めることなかれ。救いは己で得るものと知れ。
水は廻り、流れ、迸るもの。支川も枝も、そうあれかしと水は謂う。
動きの型に囚われず、言葉の枠に囚われず、心で前を見よ。
己が壁を穿つ力こそが、水源の求むる意志である。





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身体が重い、視界が眩む、息が苦しい。
それでも何もしないで居たくない。
立ち止まることに飽きつつあった。

無力を感じた──なら歩かねばならない。
非力を感じた──なら進まねばならない。
衰弱を感じた──なら鍛えねばならない。

そうしたいのに身体が動かない。こんな、状況なのに。
ままならない。まだ、私の意志は、足掻けるのに。
ああ私、だから死にたかったのか。
なんて、今更知ったふりして
死なんて、何よりも停滞だというのに。