RECORD
Eno.250 レインコートの男の記録
あり得るかもしれない話⚠︎
⚠︎この日記には暴力的表現が含まれています
薄暗い室内。両手を縛られた男。
長い前髪の隙間からは血が滴り落ちており、恐らくその下の目はもう無いのだろう。
逃亡を防ぐためだろうか、衣服は取り払われていて。
部屋に一つだけある、小さな窓からは月明かり。
男の身体をぼんやり照らしていた。
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今は何時で、自分はどうしたのか。
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ここはフラウィウスなのか、“街”なのかさえ。
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雨の音が聞こえる。身体が疼く。
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何が?
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どうして?
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居なくならないなら欲しくないの?
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綺麗事だね。無理なものだってあるだろ。
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君は頑なだね。この状況なのに。
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どう考えても、欲しいものより先に死ぬのは君だよ。
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よく分かってるじゃないか。
君はこれから収監されて、最後は絞首刑だ。
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怖くないの?
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へぇ、そう。
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なに?

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薄暗い室内。両手を縛られた男。
長い前髪の隙間からは血が滴り落ちており、恐らくその下の目はもう無いのだろう。
逃亡を防ぐためだろうか、衣服は取り払われていて。
部屋に一つだけある、小さな窓からは月明かり。
男の身体をぼんやり照らしていた。
記憶の混濁が激しい。
今は何時で、自分はどうしたのか。
思い出せない。
ここはフラウィウスなのか、“街”なのかさえ。
分からない。
雨の音が聞こえる。身体が疼く。
欲しい。
何が?
何だっけ…でも、欲しい。
どうして?
だって、居なくなっちゃう。
居なくならないなら欲しくないの?
違う。ずっと一緒に、
綺麗事だね。無理なものだってあるだろ。
嫌だ。
君は頑なだね。この状況なのに。
欲しいものは、手に入るまでって、
どう考えても、欲しいものより先に死ぬのは君だよ。
…ふふ、まさに因果応報だ。
よく分かってるじゃないか。
君はこれから収監されて、最後は絞首刑だ。
ふーん、それで?
怖くないの?
別に。もったいなくもないかな。情報屋もきっとそう言う。
へぇ、そう。
でも、思い出した。
なに?
「どうせ死ぬなら…アイツが生きられるようになってから、死にたかったかな」
「死なない王子様が助けに来てくれるなんて、現実にはないんだから」