RECORD

Eno.395 ファリーダの記録

ある国のおはなし

ある国の竜は再生と誕生を司り。
幸福と希望を祈り願い叶える。

その竜は欠けていました。
美しい容姿、誰もが目で追ってしまう姿だけれど。
あえて欠けさせられているいるものがありました。

「どうして?きれいなのに欠けているの、何がかけているの?」

「竜は、寄り添う事が好きですべて愛そうとしてくれる。
それでも、この竜のもう一つの顔の為に、欠けているのよ」

「もうひとつのお顔があるの?」

「そう、もう一つのお顔……破壊と死と呪い」

「怖い……」

「そう怖かったの、みんな怖かったのよ、だから【とくべつ】が出来ない心にしてしまったの」

「どうして?とくべつがいた方がずっと優しくなるんじゃないの?」

「とくべつが傷つけられたらどうする?失ったらどうする?」

「傷つけた人を怒るし、すごく悲しい……」

「えぇ、だから竜は欠けたまま……自分たちを守る為に欠けたままで育てられたのよ」

「……それでも、とくべつがいた方が楽しいのに、とくべつがいた方がずっと世界をあいしてくれるのに……」

「勝手は話よね、自分たちで滅ぼしておいて、すがって……自分たちは滅びが怖いなんて」

「私、この竜に会えたらお友達になる!」

「いつか会えるといいわね、ひとりっきりの竜に」