RECORD

Eno.34 シャルティオの記録

【12 ゆめにおちる】


──夢を見た。

『おまえなんて死んだ方がマシ』
『おまえに生きている価値などないわ』


 おかあさん。
 消えてくれない過去の夢。
 あなたにこそ愛されたかったのに。
 冷めた渇望が凝っていた。

──夢を見た。

『お前は道具としてなら価値がある』
『何だその目は? 僕に反抗するのか!』


 最後まで好きになれなかった兄上。
 恐れていたひとの夢。
 逆らえば暴力を振るわれたから、
 心を凍らせて血をあげたんだ。

──夢を見た。

『…………あたしたちは、何も聞いてないわ』
『わたしには……あなたなんて……見えてないから』


 彼女なりに生存戦略を組んでいた姉上たち。
 それでも許せない家族の夢。
 僕の必死の『たすけて』を
 見て見ぬ振りしてたのは、どうして?

──夢を見た。

『──これが、俺の正義だ』
『大好きだよ、シャルティオ!』


 自分の為に、全てをなげうって消えた兄さん。
 心に刻まれた後悔の夢。
 あなたと一緒に笑ってたかったんだ。
 仲良しだったふたりの道は、もう交わらない。

──夢を、見た。

『それは過去の夢だろうな』
『とっとと忘れて、速贄にでもなるといい』


 友達になりたいと、自分から言ったひと。
 優しくてあったかかったはずの“彼”の夢。
 僕の手は声は届かなかったね。
 無力感を、かみしめて。



 ゆめにおちる、おちていく。
 すぎていくそれらは、かなしみにみちて。

てをのばしたけれど、
つかめるものなんて、ありはしない。


 おはよう。おきたら、
 すべておわっていればよいのにね。

 うごけないから、ゆめにおちる。
 やれることがないから、ねむりのなか。

 かこのゆめになんて、したくないんだ。