RECORD

Eno.8 スフェーンの記録

interval:中央都市セレシオン









──おはようございます中央都市セレシオンの皆様!



──今日も起床時間となりました。




──今日も良い1日を!




──人間としての生命活動を!




今日も星は巡っている。

他の星に取り囲まれている。



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さて。


都市の人間たちは“人間”としての生命活動を強いられている。
彼らはその星の“動物”である。
葉を食べ、肉を食べ、豊かな食物を胃の中に収めている。
しかしその都市では生産活動は行われていない。
別都市では人間が奴隷として働かされている。
食物を作るためだけの人生は単調だ。
奴隷なんてノーだ。
それは役割である。


人間は都市ごとに役割を持つという。大昔に都市は分けられた。
北、南、西、東。そして中央。
中央は大災害の起きる前の人類の生き方を保管し、繰り返し続けている。
いわば、20xx年あたりの生活。
その年を保管し続けている。星の到達点として。
崩れ落ちた前時代のモニュメント。
生きる人類も巻き込んで!

彼らは“それ”の指示のもとで働いている。
そして他の都市の役割を知ることもない。
大災害以前の東の島国、その定例都市ほどの人口は、生涯、生まれた都市から出ることはない。
他に興味を示さない。
これは何百年、もう少しで千に到達する巡りの中で、もう人間の生き方として染み付いている。
彼らの生き方は完成した。
往々闊歩、世界を旅するその足は小さな都市で毎日を育むためにある。
毎日を過去の再生産へと使っている。
仕事なんてものはフリにしかすぎず、学業もまたフリにしかすぎない。
コミュニケーションを育む思考実験場ではあるのだろう。
だって彼らには個人識別信号と個人識別番号が割り振られている。
ある一定の年となれば、信号から知恵を学び、学ばされる。
勝手に頭に知識がアップデート。年を得るごとに知識は追加されていく。
その知識を確認するための学校である。
学業の好みで知識の追加のカテゴリーはある程度異なるが。

仕事もそう。
あくせく働かないと罰が降るが、一定以上働いたところで賃金が出るわけではない。
怠惰に転がるより、労働で体を動かすのが良い。


あくまでそのフリが大切なのだ。
先立の生活の保存をしている。
それでも人はうまく回っていくのだから間違いがないだろう。


私たちは幸福に生きることが必要である。
それ以上に種の保存が星としての必要事項である。
それは中央都市の存在証明である。

私たちは全てが俳優であると言っても過言ではない。

まあ、俳優と呼ばれる職の人々は、都市内で決まっているのだけど。


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Q.“それ”とはなに?


A.我らの都市構築システム『Belka/Strelka』をご存じない?

我らが母なる機械である、『Belka/Strelka』を。