RECORD
Eno.23 透の記録
魔女の名前はクリスタベルではありませんでした。魔女は確かに女性の形をしておりましたし、あのような詩を歌う事はありませんでした。
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私の網膜に未だ焼き付いている幾つかある昨日の景色。灰の空に突き刺さる無骨な形を私はつい思い描いてしまったのです。
そうして何を思ったか。それを私は未だ上手く言葉に出来ませんでした。
敢えて例えるならば、そこにはやはり虚ろな心があるのでしょう。その中を金魚に似た小さな魚が泳いでいるのです。
それの些細な波紋が体の端に伝った時、やはり僅かに揺れる指先があったのです。

そう思ったという事を。また私は昨日に置いてゆくのです。
永遠逃れられぬ今日の中。塔から落ちたのは確かに私であるのに。
墓穴からベルを鳴らしているのに。
昨日、灰色バラッドにて
魔女の名前はクリスタベルではありませんでした。魔女は確かに女性の形をしておりましたし、あのような詩を歌う事はありませんでした。
――灰色の塔。
私の網膜に未だ焼き付いている幾つかある昨日の景色。灰の空に突き刺さる無骨な形を私はつい思い描いてしまったのです。
そうして何を思ったか。それを私は未だ上手く言葉に出来ませんでした。
敢えて例えるならば、そこにはやはり虚ろな心があるのでしょう。その中を金魚に似た小さな魚が泳いでいるのです。
それの些細な波紋が体の端に伝った時、やはり僅かに揺れる指先があったのです。

「……もう一度」「……。」
そう思ったという事を。また私は昨日に置いてゆくのです。
永遠逃れられぬ今日の中。塔から落ちたのは確かに私であるのに。
墓穴からベルを鳴らしているのに。