RECORD

Eno.457 ルルベル・シャンパーニュの記録

涙雨の刻

雨が降ってたの。
優しい雨、バケツをひっくり返したような感じじゃなくて、しとしと降ってる雨。


『俺、雨好きだな。』

彼が、いつかの旅でそう言っていたことをふと思い出す。
私はあまり関心がないって答えたっけ。


『けどさ、俺、あんまり雨が降って欲しくないっても思うんだよなぁ。』

好きだと言ってた癖に何それ、と笑ったな。
そうしたら、彼、なんて答えてたっけ。


『雨ってさ』

神さまが泣いているんだって。

『だから神さまが泣くぐらいなら、降って欲しくないなぁって。』


君は馬鹿だなぁ、雨が降らないと今度は皆が泣くんだよ。
土地は乾くし、植物は枯れるし、何もかも立ち行かなくなる。


『…ん~、分かんなくもないけどさぁ…
代わりに俺らが泣いたらよくね?
ほら、1人じゃなくて皆泣いたらそれだけで沢山雨を降らせられるぜ!?』


…君は、本当に馬鹿優しいだよ。大馬鹿者底なしのお人好し



「…」





優しい雨。
何処かで誰かが泣いても、きっと気が付かないぐらい。




■■ネアさま





どうしてその名が出たんだろう。