RECORD

Eno.36 草創のナハネアウローラの記録

理性

衝動的なリストカットというよりは、理性は残っていた様に思える。



宿泊所を出てすぐに海へ向かった。
替えの服も用意をして、大鎌を持って。

曖昧に切り離すと大きくなりそうで、細かく何度も分けて切り取っていった。
何度か間違えて―くて赤色が青色に落ちて滲んで消えていく度に
やっと、正しい事が出来た気がした。



母親を困らせる事は嫌だった。
自分が居る限り気を遣わせてしまうから、これは取った方がいいと思った。


家族が居る人をこれ以上疲れさせるのも嫌だった。
情も何も無ければ、全てを知って公平に出来たのだろうと思った。


自分以外に被害がいくことも嫌になった。
空っぽな悪意も愉快犯も何処から来るのか分からないから、大切を持てない方がいいと思った。


呼ばれ無かった事に縋ることも嫌だった。
考えてする言動はいつも何かを間違えるのなら、考えない方がいいと思った。




喚きたい事はいくつもあった 泣きたい事は多かった


けれど

何かを思っても、全部全部神様が抱えるべきだ。

間違えたのだから。

なにより、地上の民は人間は簡単に死んで殺してしまうから。
簡単に壊れて壊してしまうから。



竜であれば耐えられる

神であれば壊れない



情を捨てれば、きっと飽きれて捨ててもらえる

思いを捨てれば、きっと大切の無い独りになれる

記憶を残せば、約束事だけは守れる





責任も罪も、記憶と共に抱えたまま


神様の今日を始める