RECORD

Eno.97 青枯の妖精の記録

忌み地

「昔のお話では精霊が混じって出来た森、
 とされてますけど実はそうでは無いんですよね」

草が揺れる、花が散る、木々が騒めく。

「人間の方々が争い血を流し続け土地に魔素が染み渡った結果、
 この土地の植物は過剰に活性化してしまった。
 腐ってしまうぐらい成長し続けて決して枯れない植物。
 人間様を惑わし仇なす森」

眩暈が起こる程に噎せ返る植物の匂い、
頭痛を引き起こす程に満ちる腐り掛けの果実の臭い、
外敵を排除せんと溢れ出てくる森の蜜。

常人ならば既に精神を蝕まれ破壊されてしまうだろう異常の数々。
物ともせずに粛々と語り続ける。

「見過ごす訳にはいきません、見逃すことは出来ません。
 人間様を襲い植物に変える所業、到底許せる罪ではありません」

見下す妖精へ沙汰を下せば一息入れる。
呼吸すれば魔素が侵入者の身体を植物の土壌にせんと作り変えようとしていた。
一息吐けば魔素は魔女の物に変換されていた


「……許すまじ、魔女風情が!」


「許されないのは貴方方ですよ」




森の一角が爆ぜ消え、開幕の狼煙が上がる。
勝敗は語るに及ばず。


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正義の魔女イラスト:ルルクス様