RECORD

Eno.212 フィオルライレの記録

【■の頁】おばけ

けだものはその日、奇妙なものを見ました。
それは、あの子にそっくりな"泥"です。
とはいえ匂いが明らかに違うそれは、けだものの目を誤魔化せることはありませんでした。

なぜあの子の姿に?なぜあの子を知っている?
けだものは不安になりました。

偶々そばにいた優しい水色の精霊は、そんなけだものを見かねたのか、それを『おばけ』だと教えてくれました。
そして、この泥にはもう近寄らない方が良い、と。

けだものはもう、あの子を少しでも独りにさせておくべきではないと考えました。
自分が感じているよりも、この島は遥かに危険なのかもしれないと思ったからです。

こうしてけだものは
あの子に声をかけようと思い至ったのです。