RECORD

Eno.291 Anyの記録

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魔女は物語が好きでした。
本を読むのが好きでした。

小説も、古い文献も、漫画や絵本だって好んで読みました。
どんな空想も、どんな願望も、ここにはたくさん込められていて。
読めば読むほど、魔女の力となりました。


けれど、読めば読むほど、目新しさはなくなって。
背に跡のついた本が部屋を埋めて溺れそうになった頃。
ふと、本をつくる人々について考えました。

彼らは何を経験し、何を考え、何を思うのでしょうか。
それは本の中の登場人物たちと何が違うのでしょうか。
望み願うことに、違いはあるのでしょうか。

俄然興味が湧いた魔女は、毎夜人里に下りては道行く者の記憶あたまを開いて。
誰かの人生ものがたりを読むようになりました。