RECORD

Eno.285 ウィンター・ザ・リグレットエッジの記録

『後悔』の話

――しばらくは何も考えられなかった。
呆けた状態で随分長く空と海を見ていた、と思う。
……正直に言うと、覚えてない。ただ、無の時間を過ごしていたから。

スキュレーの彼にわたしの頬を触腕で軽く叩かれた時、
周囲が夜になっていたから、多分昼から夜まで呆けていたんだと思う。
たぶん。……一昼夜、とかじゃなければいいんだけれど、自信はない。

それで、わたしは……流されるように、アールキングに住む事になった。
もっとも、どうしてもリアル・フォーミングの中で生活するのに
馴染める気がしなくて、家もなく野宿してる訳だけれど。

そんな中で、今後を考えて武器を取り出しては、相手の居ない可能性に消沈し。
それを繰り返す日々の中、ふと、気付いて。見比べた。見比べて、しまった。

リグレットエッジと、後悔の戦斧。その、サイズ差。
一概には言えないけれど、基本的に特に意識せず能力を使った時、
後悔の大きさに比例して出来上がる武器のサイズも大きくなるのだが。

愛する子供達を殺した後悔が、両手で覆えてしまう程度の小さなナイフで。
独りよがりの戦いが失敗した後悔が、自分より幅広く、自分の胸まで柄がある大きな斧。

――そこで、ようやく思い出した。あの時、戦斧が出来た時。
わたしは、今と同じように、『気付いた』ことを。

わたしは、わたしは。

あの子達を殺した事を、大して後悔していなかった。