RECORD
Eno.285 ウィンター・ザ・リグレットエッジの記録
『後悔の終わり』の話
わたしは"リグレットエッジ"を生みだしたあの時。
あの子達を殺した時。後悔は、したのだろう。
そうでなければ武器は生まれないから。
ただ、その後悔は――それほど大きくは、なかったのだ。
言い訳も出来ない。あの子達の思い出を振り返る傍らで、
あの時のわたしは間違いなく、『これで救える』と。
『この力が、武器があれば、電子精霊も、リアル・フォーミングも、
全て撃退し、また人間の世界を取り戻せる』と。
そう、信じていた。そんな事ばかりを考えていた。
研究所に戻って真っ先に受けた多くの称賛と歓喜の声に、
黙祷と言いながらも、内心の期待に満ちて震えるあの空気に、
一緒になって喜んで、唇の端を歪めていた愚かな人間だった。
その力が通用せず、人の世が終わる時にも後悔した。
『もっと上手くやれたはずだ』と。あの子達の事じゃない。
"救えなかった"、その事への後悔だ。笑い話にもならない。
ようやくそれを自覚した時。
わたしの傍の地面……いや、アールキングの根に、
3本目の後悔の武器が突き立っていた。
それは、木製に見える柄の部分だけでも私の身長をゆうに超えていた。
刃の長さはちょうど、あの子達の中でも一番幼かった子の身長と同じくらい。
あの子は最後に測った時は80cmくらいはあったと思う。
形は旧世代の処刑器具、ギロチンのそれによく似ていた。
戒めのように、刃と柄の部分を茨のような刺々しい装飾が結んでいて。
ただの一度も振るっていないのに、既に刃は血で汚れた跡があった。
洗っても洗っても落ちない血は、きっとあの子達の恨みでも取り入れたのだろう。
わたしは、この巨大な武器にリグレットエンドと名付けた。
これから先、またわたしが後悔の力に酔って、最低な事をしてしまわないように。そして、
いつの日か、全てが終わった時は、これでわたしを終わらせるように。
……この後は、大した事はない。それなりに永い時間、スキュレーの彼に
協力してもらって、あちこちの海を調べて回った。
だが、手掛かりはなかった。幾つもの"古代遺跡"を開けては、その度に落胆した。
武器を振るい、訓練をし続けた。他者の後悔をも力に変えられると知り、
万に一つ、電子精霊達がまだ残っている可能性を思って、刃を研ぎ続けた。
その繰り返し。ずっと。ずっと。
スキュレーの彼がこの世を去ってから、どれくらいの年月が経っただろう。
……わたしは、他の存在を食らい尽くし生き続けようとした人間の居なくなった世界で、
食物連鎖こそあれど、大きく争いもせず暮らすリアル・フォーミングの世を見ていた。
彼らの自由で、文化的で、高度で、しかし幼い社会を見るたびに、
かつての世界で共存は出来なかったか、と思ってしまう。
……身勝手な話だ。なにもかも。すべてが。
あの子達を殺した時。後悔は、したのだろう。
そうでなければ武器は生まれないから。
ただ、その後悔は――それほど大きくは、なかったのだ。
言い訳も出来ない。あの子達の思い出を振り返る傍らで、
あの時のわたしは間違いなく、『これで救える』と。
『この力が、武器があれば、電子精霊も、リアル・フォーミングも、
全て撃退し、また人間の世界を取り戻せる』と。
そう、信じていた。そんな事ばかりを考えていた。
研究所に戻って真っ先に受けた多くの称賛と歓喜の声に、
黙祷と言いながらも、内心の期待に満ちて震えるあの空気に、
一緒になって喜んで、唇の端を歪めていた愚かな人間だった。
その力が通用せず、人の世が終わる時にも後悔した。
『もっと上手くやれたはずだ』と。あの子達の事じゃない。
"救えなかった"、その事への後悔だ。笑い話にもならない。
ようやくそれを自覚した時。
わたしの傍の地面……いや、アールキングの根に、
3本目の後悔の武器が突き立っていた。
それは、木製に見える柄の部分だけでも私の身長をゆうに超えていた。
刃の長さはちょうど、あの子達の中でも一番幼かった子の身長と同じくらい。
あの子は最後に測った時は80cmくらいはあったと思う。
形は旧世代の処刑器具、ギロチンのそれによく似ていた。
戒めのように、刃と柄の部分を茨のような刺々しい装飾が結んでいて。
ただの一度も振るっていないのに、既に刃は血で汚れた跡があった。
洗っても洗っても落ちない血は、きっとあの子達の恨みでも取り入れたのだろう。
わたしは、この巨大な武器にリグレットエンドと名付けた。
これから先、またわたしが後悔の力に酔って、最低な事をしてしまわないように。そして、
いつの日か、全てが終わった時は、これでわたしを終わらせるように。
……この後は、大した事はない。それなりに永い時間、スキュレーの彼に
協力してもらって、あちこちの海を調べて回った。
だが、手掛かりはなかった。幾つもの"古代遺跡"を開けては、その度に落胆した。
武器を振るい、訓練をし続けた。他者の後悔をも力に変えられると知り、
万に一つ、電子精霊達がまだ残っている可能性を思って、刃を研ぎ続けた。
その繰り返し。ずっと。ずっと。
スキュレーの彼がこの世を去ってから、どれくらいの年月が経っただろう。
……わたしは、他の存在を食らい尽くし生き続けようとした人間の居なくなった世界で、
食物連鎖こそあれど、大きく争いもせず暮らすリアル・フォーミングの世を見ていた。
彼らの自由で、文化的で、高度で、しかし幼い社会を見るたびに、
かつての世界で共存は出来なかったか、と思ってしまう。
……身勝手な話だ。なにもかも。すべてが。