RECORD

Eno.160 ノラ・ドニーニャの記録

ないしょの話 再び

僕のいた所は人の入れ替わりが多かった……と、思う。
待遇が良い訳ではなかったから、引き抜かれたり、裏切ったり。
後はまあ……「入れ替わった」り。

そんなだから、名前も種族も今までも、あんま関係がなくて。
読み書きだって言葉だって、まあ二の次だった。
とにかく隊の指示がわかることと、「仕事」が出来さえすれば食っていける。
そんな感じだ。



特に特別な日って訳でもなく、また一人、新入りが入ってきた。らしい。
僕は……やっぱり靴磨きをしていた時だ。
らしい、というのは、頭上からタバコの灰と共に降ってくる噂で知ったから。

そのとき僕にわかったのは、
それがおそらくニンゲンではないことと、
恐ろしく陰気であることと、

誰も関わりたくなさそう、ということだけだった。