RECORD
Eno.480 タラッタムー・スラットゥスの記録
タラッタム―と三人の臣下達
【※これはタラッタム―がアーケード踏破する前のお話です※】
――草木も眠り、ちょうど清掃が入っている時間。個室で三匹のネズミが出そろっていた。
マントを羽織ったネズミは、そういって深夜のお供ホットミルクを人数分配布し
ゴーグルを被ったネズミは、ちょっと堅めのビスケットを机の上に出し
ローブを着たネズミは、秘蔵のイチゴジャムと生クリームを添えました。
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これよりは、そう――ネズミ王国の要職たちにおける会議。
もとい、深夜のお喋りタイムなのです。
******************************
【どうでもいい人物紹介】



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ビスケットをバリバリしつつ、先に声を上げたのはマルジンだ。
「整備班の報告から始める、レギュレーションに沿った鋏ようやっと調整完了したぜ」
整備の記録が入った展開図を机に広げる。アーサーにもモルガナにも細かいことはよくわからない。だが、書き込みの量が整備班たちの熱の入った仕事を饒舌に語っていた。
「あとはモルガナの方で、まじないをかけてもらえると助かる。展開図に魔術の文様が書きやすい部分を赤丸しておいた」
「了解、……明日は新月だから丁度いいわね。運営に申請を入れて海あたりで行うわ」
展開図をモルガナが受け取り、しっかりとカバンにしまい込んだ。それを見てアーサーがうんうんと首を縦に振る。
「じゃあ、明日から整備班はしっかり数日休んでおきたまえよ。その分、タラッタム―の周りは僕と数班で持ち回りで管理しておこう」
「整備居なくて平気か?アーサー兄」
「軽い点検なら僕でも出来るよ」
そうだな、と納得してマルジンはそれ以上言わなかった。なにせ、手先の器用さだけならばこのアーサーを超えるものは居ないだろう。……昔はもっぱら、スリに使用されていた手先だが。
そうして、明日以降のネズミ達の予定。状況確認、美味しかったご飯。最近の王様についてを口々に話し合った。
「……なんだか、奇妙な気分だわね」
そんな中、そういったのはモルガナだ。
「あの珍妙な水族館だけでも驚きだったのだけど、この世界も十分驚愕に値するわ。――まさか私たちがこんな普通に個室をもらって。タラッタム―が闘技者として真っ当に戦えるなんてね」
「だよなあ、しかも治癒魔法や施設もトンでもないし。ミーナの姉貴が言うだけあっていい場所だよここは」
一部のネズミ達の中では、移住権を取りたい!という話も上がっているらしい。最終的には王様の決定次第だが――三人は水族館以外の常宿を作ることもよいかもしれない、とも思った。
「そうだね――。なあ、マルジン。モルガナ。……タラッタム―はあの戦い、超えられると思うか?」
観戦席から見た、連戦の様を思い出す。ライセンス取得とは違った本気のウェポンマスター達。ひりつく空気は見ている彼らにも伝わっていた。
最初は1勝も超えれなかった、それがだんだん重ねて行って、また負けて、ひたすら考えて、修行して、重ねて、――そびえる壁は一枚ではないということを何度も知り。
それでもあのネズミは――。
「当然」「当たり前だろ?」
諦めないだろう、と二人は頷きました。
「なにせ、俺らを助けるときはキメラだの悪魔だのあらかた嵐の様にぶちのめした馬鹿ねずみだぜ(よ)?」「それに諦めも悪いわ、意地でもなんでも引っ張って逃げることはしないでしょうね」
まったくの疑いようのない確信に似た弟妹の目を受けてアーサーは笑いました。
「あっはっは!僕もそう思うから結構みんな彼につられて大馬鹿になってるよね!」
こらこら、寝ている奴らが起きるぞと窘められて深呼吸をしてからアーサーは締めの言葉を出しました。
「うん。彼が夢をかなえることは、僕ら円卓団の夢でもあるからね!」
「彼の全てと僕らの全て――元人間の知恵でもなんでもしっかり使って登り詰めてもらおう!」
「だな」
「そのためにも、明日からまた頑張ろう!」
(エイエイオー!と手を三人で掲げて、ホットミルクを飲み干しました)
***
そうして、アーサー達はちょっとだけ昔のことを夢に見ました。
人間だった頃に、タラッタム―と初めて会った日を。
――草木も眠り、ちょうど清掃が入っている時間。個室で三匹のネズミが出そろっていた。
「やあ、王様と他の子らは?」
「よ。全員熟睡だよ」
「……おつかれ、だものね」
「それでは、これより第87回目の円卓会議を始めようか!」
これよりは、そう――ネズミ王国の要職たちにおける会議。
もとい、深夜のお喋りタイムなのです。
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【どうでもいい人物紹介】
モルガナ:ネズミ王国の神官兼魔術師。クールな紅一点。服作りが趣味でそれを邪魔した場合王であろうとも恐ろしいことになる。
マルジン:ネズミ王国の技師長。オタク気質な職人肌。武器や料理器具を作るのが大好きでそれを邪魔した場合王であろうとも恐ろしいことになる。
アーサー:ネズミ王国の宰相担当。タラッタムーの代わりにネズミたちをまとめ上げる明るく元気でしたたかなネズミ。美味しいものを食べるのが大好きでそれを邪魔した場合一緒にご飯を誘ってきて気づいたら奢らされている。
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ビスケットをバリバリしつつ、先に声を上げたのはマルジンだ。
「整備班の報告から始める、レギュレーションに沿った鋏ようやっと調整完了したぜ」
整備の記録が入った展開図を机に広げる。アーサーにもモルガナにも細かいことはよくわからない。だが、書き込みの量が整備班たちの熱の入った仕事を饒舌に語っていた。
「あとはモルガナの方で、まじないをかけてもらえると助かる。展開図に魔術の文様が書きやすい部分を赤丸しておいた」
「了解、……明日は新月だから丁度いいわね。運営に申請を入れて海あたりで行うわ」
展開図をモルガナが受け取り、しっかりとカバンにしまい込んだ。それを見てアーサーがうんうんと首を縦に振る。
「じゃあ、明日から整備班はしっかり数日休んでおきたまえよ。その分、タラッタム―の周りは僕と数班で持ち回りで管理しておこう」
「整備居なくて平気か?アーサー兄」
「軽い点検なら僕でも出来るよ」
そうだな、と納得してマルジンはそれ以上言わなかった。なにせ、手先の器用さだけならばこのアーサーを超えるものは居ないだろう。……昔はもっぱら、スリに使用されていた手先だが。
そうして、明日以降のネズミ達の予定。状況確認、美味しかったご飯。最近の王様についてを口々に話し合った。
「……なんだか、奇妙な気分だわね」
そんな中、そういったのはモルガナだ。
「あの珍妙な水族館だけでも驚きだったのだけど、この世界も十分驚愕に値するわ。――まさか私たちがこんな普通に個室をもらって。タラッタム―が闘技者として真っ当に戦えるなんてね」
「だよなあ、しかも治癒魔法や施設もトンでもないし。ミーナの姉貴が言うだけあっていい場所だよここは」
一部のネズミ達の中では、移住権を取りたい!という話も上がっているらしい。最終的には王様の決定次第だが――三人は水族館以外の常宿を作ることもよいかもしれない、とも思った。
「そうだね――。なあ、マルジン。モルガナ。……タラッタム―はあの戦い、超えられると思うか?」
観戦席から見た、連戦の様を思い出す。ライセンス取得とは違った本気のウェポンマスター達。ひりつく空気は見ている彼らにも伝わっていた。
最初は1勝も超えれなかった、それがだんだん重ねて行って、また負けて、ひたすら考えて、修行して、重ねて、――そびえる壁は一枚ではないということを何度も知り。
それでもあのネズミは――。
「当然」「当たり前だろ?」
諦めないだろう、と二人は頷きました。
「なにせ、俺らを助けるときはキメラだの悪魔だのあらかた嵐の様にぶちのめした馬鹿ねずみだぜ(よ)?」「それに諦めも悪いわ、意地でもなんでも引っ張って逃げることはしないでしょうね」
まったくの疑いようのない確信に似た弟妹の目を受けてアーサーは笑いました。
「あっはっは!僕もそう思うから結構みんな彼につられて大馬鹿になってるよね!」
こらこら、寝ている奴らが起きるぞと窘められて深呼吸をしてからアーサーは締めの言葉を出しました。
「うん。彼が夢をかなえることは、僕ら円卓団の夢でもあるからね!」
「彼の全てと僕らの全て――元人間の知恵でもなんでもしっかり使って登り詰めてもらおう!」
「だな」
「そのためにも、明日からまた頑張ろう!」
(エイエイオー!と手を三人で掲げて、ホットミルクを飲み干しました)
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そうして、アーサー達はちょっとだけ昔のことを夢に見ました。
人間だった頃に、タラッタム―と初めて会った日を。