RECORD

Eno.160 ノラ・ドニーニャの記録

ないしょの話 つづき

で、それの相手をするのは僕くらいになった。

正確には、監視係にされたから、そうなった。
ついでに作戦の説明とか、治療とか、飯とか。そういうのは全部僕に丸投げされた。


おっかない、とかは……あまりなかったと思う。

喋らないし、言葉が通じてるのかもわからない。

磨く靴も履いてない、履くことのできない脚を持っていたから、
跪いてこうべを垂れて、取り入るお得意の靴磨きはできない。

……困ったな、と思った。

だけどそれと居る時は、熱い灰を僕の手のひらに落とされたり、頭を踏んづけたりはされなかったから。
駄賃を稼ぐ機会が減ったけど、何故か心の方はいくらかはマシだった。



真っ直ぐ僕の瞳を覗き込む碧色と、何か硬いものが擦れるような音。
それだけが、「それ」が明確に意思のある存在だと知らしめていた。