RECORD

Eno.576 ELMERの記録

随想/ゼノ その2

「……ゼノ」
『なんだ?』

覚悟を決めた。フラウィウスも、もうすぐ閉じる。オフシーズンになる。
…1度帰らなきゃなぁとか、アレから他のアレコレたちはどうなったとか、気にはなるけど。とりあえず、悲願は達成された。不老不死にはなった。時間が与えられたことが、何より嬉しい。

「…これで、お前は俺から外に出ることが出来ない。そうだろ?」
『そうだな。仮にロゥが生きてたとて、お前が死なぬ限りオレはお前から出られん。完全に、封印された訳だ』

くつくつと巨竜が笑う。何がおかしいのかと眉をひそめたら、向こうから口を開いた。

『…オレはロゥの景色が全てだった。
血と、死と、呪い。彩ったのは、これだけだ。
…だが、お前は違う。確かに逃れられぬものはある。だがお前はそれでも、ロゥに無かったものを魅せてくれる。オレは、そこに惹かれ、お前の中に居ることに甘んじている』
「……つまり、お前は俺から出るつもりは無いって事か?」
『そう捉えて構わん。どの道お前からは出られんし、これ以上手足を封印されるのも嫌なのでな』

そう、今のゼノは手足が凍結している。シャチのチカラである程度を相殺、封印しているからだ。

「……お前が右目を貸してくれる理由は?」
『先と同じだ。お前の景色がみたい。それだけが理由よ』
「…なんつーか、お前が滅びの竜だとは思えないな…」
『…だが、お前の世界を破壊したのは確かにオレだ。忘れるなよ、お前が弱った時、俺は必ずお前を蝕むからな』

巨竜は嗤う。生命への嘲笑のようには感じなかったけど、どこか煽られてる気がした。

「言われずとも、俺はもうお前には呑まれないよ。そのためのシャチとエンシェント、そのためのメガロスやAFDなんだから」

決意は胸に。覚悟は目に。

獣は今日も、月を見上げる。