RECORD

Eno.134 キィランの記録

【5 堕ちた星でも、いつかは】

 
 モルギリオンと話した。
 俺が見せた僅かな心の隙を突いて、
 モルギリオンは俺の秘めていたものを明らかにさせた。

 知ってたよ、俺が空っぽなこと。
 夢も望みも何もないこと。
 見ぬ振りをしていた。
 だってそうしていれば、痛くないだろ。

 傷も痛みも笑顔の底に隠して、
 何でもない顔をして、
 “愉快な従者”の仮面を被って、
 そうして生きてきたのにさ。

「…………どうして」


 アンタ、本当にお人好しだよな。

  ◇

 俺が幾ら拒絶しても、
 それでもアンタは真摯に俺を見てくれるから。
 ハァ、馬鹿じゃねェの?
 俺のことを、話しちゃったじゃん。

『──辛かっただろう、苦しかっただろう』

 うるさい。
 そうだよ、俺は、ずっと。

 人並みに愛されたかった。
 家族から大事にされたかった!
 このクソッタレな世界が、憎くて、憎くて。
 自分のこの魔法破壊の力が、嫌いで、嫌いで!

 感情を吐き出して泣いてた俺の手を、
 アンタは優しく握ってくれてたね。
 こんな俺の頭を、そっと撫でてくれてたね。
 嬉しかったんだ。

「…………ありがとう」


  ◇

 俺は悪魔の星。
 とうに壊れて、とうに堕ちて。
 でもモルギリオン、アンタが。
 『地上で輝く星になれば良い』なんて言ってくれるから。

 こんな俺でも、これから変われるか?
 こんな俺でも、また空を目指せるか?

 吐き出せずに抱いていた闇も澱も、
 アンタのお陰で消えてった。

 堕ちた星でも、俺でも、いつかは。

 拒絶しても諦めないで踏み込んで、
 優しさと温かさをくれたモルギリオン。
 素敵な星のアンタとこの日を、俺は忘れない。

 ありがとう。またいずれ。
 困った時にはアンタに頼ろう。
 頼り方なんて知らねェけれど。
 何かあったらアンタに話そう。

──アンタなら、俺を助けてくれるだろ?

 綺麗な星の、流れる夜のこと。