RECORD

Eno.65 カラスの記録

魔*

魔法や魔術といった概念は我々の定義上でも存在している。
世界観に存在し得ぬ摩訶不思議ワンダー。在り得ざる妙技。
世界の法に背く所業を魔術と呼び、世界の法を否定する御業を魔法と呼んだ。

世界の法を支えるのは視座であり認知である。
故に、基本的に魔術の行使は不特定多数に認識される場では失敗する確率が高い。

「世界そのものの防衛機構という奴だ。そんな与太話ある訳ないだろ! ってね。」


「でも、それこそが魔術を成し得る世界的脆弱性になり得る。」


「きみもこう思ったりはしていないかな。」


神様なんて存在しない!本当に? 自分が知覚出来ない、知り得ないだけで、本当はいるんじゃないか?
ここにおける神様は、幽霊とか、魔法とか、そういう不思議なもの全般に置き換えられる…」


「ま、どれにしろ、だ。」


「ひとの視野は自分が思っているよりもずっと狭いことを、僕らは心の奥底で知っているんだ。
きみの認知の正しさを、きみは絶対に証明ができないクオリアは私秘的なものとして定義される

魔術っていうのは、そういうひとの認知の死角に差し込まれ、忘却と疑念において存在を不確かなものとし証明不可能な領域へと落とし込まれることで実行される。」



この定義上に存在するギズモは言い換えれば人型魔法具と言い表せる。
非活性型世界観侵略存在。
彼らは、存在の内に意義テーマ世界観ルールを強固に持つ。

「非活性型。彼らは一種自己防衛的に己の意義テーマを否定することで、世界との衝突魔法の行使を避けている。」


「己が望みを叶える為の機構であるはずなのに、己の望みを強固に否定してしまう。故に自己矛盾を起こす。…自我を尊重された彼らが大抵自損してしまうのは、大抵がその性質故だ。」


「だから、彼らは本能的に己の使い手を、己の望みを肯定する者を、己を正しく利用する者を求める。
そして、人間的理性において、己の望みを否定する者を、己を破壊する者を求める。」



「…………」


「困ったものだよね!」